中国で「思考で操作する」AI搭載脳インプラントの実用化が加速――Nature誌が報道

AIとブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)を組み合わせた技術革新が、中国で急速に進んでいる。Nature誌は2026年5月19日の記事で、中国のスタートアップ企業がAIを活用した脳インプラントの開発と実用化を加速させていると報じた。

AI活用で高精度化する脳信号解読

BCIは脳活動を読み取り、コンピュータや外部機器と接続する技術であり、従来の信号処理よりも大規模言語モデル(LLM)などのAIを組み合わせることで、より高精度な脳信号の解読が可能となっている。

上海のスタートアップ企業であるNeuroXessは、麻痺のある人を支援するAI搭載脳インプラントの小規模臨床試験を進めている。

  • 2025年10月の試験では、脊髄損傷のある28歳男性が脳インプラントを装着し、思考でPC操作や家電のオン・オフを行うことに成功した。
  • また、NeuroXessが開発した中国語をリアルタイムで解読するLLMでは、1分あたり300文字の解読が可能であり、これは中国語を母語とする人の平均発話速度(約220文字)を上回る性能である。
  • 2026年4月には、脊髄損傷により手の機能を失った29歳の患者が、BCIと機能的電気刺激(FES)を組み合わせ、50ミリ秒未満の低遅延で自力での食事や描画を行う試験に成功した。

医療機器としての承認と実用化の波

中国では、臨床試験のみならず、医療機器としての承認も進んでいる。

  • 2026年3月、中国国家薬品監督管理局(NMPA)は、博睿康医療科技(上海)有限公司が申請した、手の運動機能を補償する埋め込み型BCIシステムを承認した。
  • 同月、国家医療保障局は、この製品に対して公的医療保険制度で使う医療保険コードを付与したと発表した。
  • このシステムは、脳信号をリアルタイムで解読し、思考によって空気圧グローブを制御することで、把持や飲水などの動作を支援するものである。

政府による推進と倫理的な課題

中国政府はBCIを将来産業と位置づけ、2027年までに基幹技術の突破と技術体系等の整備、2030年までには世界的なリーディング企業の育成を目指す方針を掲げている。

一方で、脳データという極めて個人的な情報を扱うため、倫理的な対応も求められている。2024年には、国家科技倫理委員会人工知能倫理分科会が「脳機インターフェース研究倫理指引」を公表し、プライバシー保護やインフォームドコンセント、リスク管理などを研究者に求めている。

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この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

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