ローム、次世代パワー半導体「GaN」の完全内製化へ――2027年量産に向け浜松で体制強化

パワー半導体大手のローム(ROHM)が、次世代素材である窒化ガリウム(GaN)パワー半導体の量産体制強化を急いでいます。ファウンドリー最大手であるTSMCのGaN事業撤退という業界の激震を受け、同社は垂直統合型生産体制(IDM)の強みを活かした「完全内製化」へと舵を切り、2027年の本格量産開始に向けた総力戦を展開しています。

「痛手」を成長の糧に――浜松に集結する技術者

業界を揺るがしたTSMCのGaN事業撤退ニュースに対し、ローム首脳陣は「非常に大きな痛手である」と認めつつも、迅速に戦術を修正しました。ロームは、これまで蓄積してきた独自のデバイス設計技術やプロセス技術を再評価し、浜松工場(静岡県浜松市)をGaN開発の最前線として位置づけました。

同社は浜松工場に優秀な技術者を集結させ、これまで外部委託や協業に依存していたプロセス技術の社内取り込みを加速させています。「開発の難易度は高いが、素材から最終工程までを一貫して手掛けるIDM体制こそが、品質と信頼性で圧倒的な優位性を築く鍵になる」とし、2027年までにGaNパワーデバイスの供給能力を自社内で完結させる計画です。

業界初の取り組みと先端製品の相次ぐ投入

ロームはGaN開発と並行して、最新の半導体製造技術の導入にも積極的です。

  • 量子アニーリングの活用: 2026年6月2日には、半導体製造の前工程において、量子アニーリング技術を世界で初めて導入したと発表しました。製造プロセスの最適化に量子コンピュータの原理を応用することで、さらなる歩留まり向上と開発期間の短縮を図ります。
  • 新製品の市場投入: 同社は6月11日、600V耐圧のSuper Junction MOSFET向けに、高放熱・表面実装パッケージの新製品を発表しました。AIサーバーの電源ユニット(BBU)や車載48Vシステム向けなど、高効率・小型化が求められる先端市場へ向けた製品ラインアップを拡充し続けています。

AIとEVが支える成長戦略

ロームが注力するGaNやSiC(シリコンカーバイド)といった次世代パワー半導体は、生成AIのデータセンターや電気自動車(EV)といった、今後のグローバル経済を牽引する分野で不可欠なキーデバイスです。

株価面でも市場からの期待は高く、大手証券会社が目標株価を引き上げるなど、同社の技術開発と事業転換に対する投資家の評価は高まっています。TSMC撤退という荒波の中、自社製造の技術力を武器に「IDMとしての自立」を果たすロームの挑戦は、日本の半導体産業がグローバル市場でいかに生き残り、存在感を発揮し続けるかを占う試金石となるでしょう。

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この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

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