野村総研、減損の「痛み」越え成長軌道へ 27年3月期は営業益3倍を見込む

野村総合研究所

野村総合研究所(NRI)が再起を図る。2026年3月期連結決算は、売上収益が前期比6.5%増の8,147億円と増収を確保したものの、営業利益は582億円(前期比56.8%減)と大幅な減益に沈んだ。北米や豪州など海外事業におけるのれん減損等の特殊要因が利益を大きく押し下げた格好だ。しかし、市場の関心はすでに「回復の確度」へと移っている。

減損剥落で収益正常化へ

同社が掲げる2027年3月期の業績予想は、売上収益8,500億円、営業利益1,750億円だ。営業利益ベースで今期の約3倍に相当する強気な計画は、減損の要因となった海外事業の構造見直しが完了し、収益が正常化に向かうという経営陣の自信の表れといえる。

株主還元についても積極姿勢を崩さない。2026年3月期の年間配当は1株当たり77円(前期比14円増)と増配を継続。2027年3月期も同84円への増配を予想しており、中長期的な株主価値の向上を重視する経営姿勢は健在だ。

「スキル可視化」など新たな成長の芽

本業のITコンサルティング・サービス領域では、新たな取り組みも始まっている。6月には経済産業省の事業を通じ、労働市場におけるスキル需給の可視化に向けたプロジェクトを開始した。デジタル化が進む日本経済の構造課題に対し、データ分析とコンサルティングの両輪で解を提示するNRIの強みは、今後も官民双方から高い需要が見込まれる。

また、資本効率の改善にも余念がない。6月中旬には自己株式の消却や、信託型従業員持株インセンティブ・プランの再導入を発表するなど、資本政策の最適化を進めている。

試される「中計」の遂行力

市場では、短期的な株価の乱高下が見られるものの、長期的には依然として成長企業としての期待は根強い。特に「ROE25%」という高い目標を掲げる経営陣にとって、2027年3月期は、減損の特殊要因を脱し、本来の「稼ぐ力」を証明する重要な試金石となる。

海外事業の立て直しという高いハードルを越え、再び利益成長の軌道に戻れるか。デジタル変革(DX)の旗振り役として、日本企業が構造転換を急ぐ中で、野村総研が描く成長シナリオの達成度が、今後の株価の行方を左右することになりそうだ。

※本記事は2026年6月22日時点の公開情報を基に作成しています。株式投資は価格変動リスクを伴います。売買にあたっては最新の市場環境や決算資料を確認の上、ご自身の判断で行ってください。

【免責事項】記事に掲載されている情報は、情報提供を目的としたものであり、投資助言を構成するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任と判断において行なってください。EIICHI JOURNALは、本記事の内容に起因して生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。株式への投資には、価格変動、流動性、市場環境、規制変更、手数料の変動などさまざまなリスクが伴います。また、世界経済や金融市場の動向により、資産価値が大きく変動する可能性があります。なお、本記事には招待コードやアフィリエイトリンクが含まれる場合がありますが、これらは読者の利便性を目的として掲載されるものであり、EIICHI JOURNALが収益を得ることを目的としたものではありません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

コメント

コメントする

目次