ソニーグループが、次世代の映像体験に向けた投資を加速させている。傘下のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは6月25日、米国で巨大スクリーンを手掛ける新興企業「Cosm(コスム)」に対し、1億ドル(約161億円)を出資すると発表した。映画やスポーツなどのイベントを、ドーム状の巨大スクリーンで「没入型」として楽しむ新市場への足がかりを築く。
映画館の枠を超えた「体験」への投資
今回出資するCosmは、米ロサンゼルスやダラスなどで、湾曲した巨大スクリーンを備えた劇場を展開する。観客は食事をしながら映画やスポーツ観戦を楽しむことができ、単なる「視聴」にとどまらない社会的な体験の場を提供している。ソニー・ピクチャーズのラヴィ・アフージャ最高経営責任者(CEO)がCosmの取締役に就任し、コンテンツの供給や技術面での連携を深める。
ソニーは2024年に映画館チェーンの米アラモ・ドラフトハウスを買収するなど、コンテンツ制作にとどまらない「上映体験」の刷新に余念がない。映画業界では配信サービスの普及が進む一方、劇場でしか味わえない付加価値をどう創出するかが経営の焦点となっている。
半導体でも世界初、新技術でモバイル市場をリード
技術面でもソニーの存在感は際立つ。ソニーセミコンダクタソリューションズは6月24日、スマートフォンなどのモバイル機器向けに、業界初となる独自の画素構造「RB2×2 OCL」を採用したCMOSイメージセンサー「LYTIA 610」を発表した。
このセンサーは、高精細な撮影を可能にする「1×1」画素と、高速かつ正確な自動焦点(AF)を実現する「2×2」画素を1つのセンサー上で最適に配置するものだ。これにより、従来品と比べて空間解像度が20%以上向上したほか、同サイズのセンサーとしては初めて4K・120fpsの動画撮影に対応した。ソニーが強みを持つイメージング技術の磨き上げにより、スマホのカメラ性能で主導権を握る狙いだ。
財務の安定感、格付けでも裏付け
投資家からの信頼も厚い。S&Pグローバル・レーティングは6月24日、ソニーグループが発行する米ドル建て無担保普通社債に対し「A+」の格付けを付与した。多様な事業ポートフォリオによる収益の安定性と、財務の健全性が高く評価された結果だ。
一方で、事業の選択と集中も進める。6月25日には、エンタテインメントロボット「aibo」の標準モデル(アイボリーホワイト)の国内販売を在庫限りで終了すると発表した。既存のサブスクリプションサービスや修理サポートは継続するとしており、あくまでハードウェアの販売戦略の見直しと位置づける。
映画、半導体、そしてエンタテインメント。ソニーグループは、強固な財務基盤を背景に、成長領域へ大胆な資源配分を続けている。AI時代の到来に伴い、映像技術とデバイスが一体となってどう進化するか。その次の一手に市場の注目が集まっている。
※本記事は2026年6月26日時点の情報を基に作成しています。株式投資は価格変動リスクを伴います。実際の売買にあたっては、最新の市場環境や決算資料を確認の上、ご自身の判断で行ってください。
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