暗号資産取引サービスを運営するコインチェックは、暗号資産の送金時に公的個人認証サービス(JPKI)を用いた「追加の本人確認」を導入した。6月19日付で運用を開始しており、暗号資産の送金手続きにおいてマイナンバーカードのICチップを活用する仕組みは国内の暗号資産交換業者として初めてとなる。
不正送金の手口巧妙化に対応
近年、フィッシング詐欺やマルウェア感染を起点としたアカウントの乗っ取りなど、ユーザーの資産を狙った犯罪の手口が高度化・巧妙化している。こうした事態を受け、同社は従来の二段階認証などに加え、より確実な本人確認手段としてJPKIの採用を決めた。
今回の取り組みの主な要点は以下の通りである。
- 対象: すべての送金が対象ではなく、同社が定める所定の条件に該当する一部の取引が対象となる。
- 方法: 送金手続き中に本人確認を求められた場合、手持ちのスマートフォンでマイナンバーカードのICチップを読み取る必要がある。
- 運用: 本人確認が完了するまで送金は実行されず、確認ができない場合は当該送金自体がキャンセルされる。
同社によると、マイナンバーカードを所持していないユーザーに対しては、個別に問い合わせフォームから別の本人確認手段を案内する方針だ。
「社会インフラ」としての信頼性向上へ
暗号資産市場では、ハッキングや不正送金への懸念が機関投資家や保守的な層の参入障壁となってきた。今回のJPKI導入は、公的機関の認証基盤を民間金融サービスに組み込むことで、取引の「本人性」を強固に担保するものだ。
競合他社でもセキュリティ強化の動きは進んでいる。コインチェックは今後も、暗号資産を単なる投機対象から「安全に保有・利用できる資産」へと脱皮させるため、セキュリティインフラの拡充を急ぐ。
2026年6月現在、同社はパスキー認証の順次導入など、認証プロセスの多層化を進めている。今回のJPKI活用は、金融犯罪に対する抑止力としての効果が期待されると同時に、日本の暗号資産交換業者が高いセキュリティ水準を維持していることを内外に示し、業界全体の信頼性向上にも寄与しそうだ。
※本記事は2026年6月26日時点の公開情報を基に作成しています。
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