国内シンクタンクおよびシステムインテグレーション(SI)最大手の野村総合研究所(NRI、4307)が7月30日に発表した、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月期)の連結決算は、売上高・営業利益ともに前年同期を上回る好調な滑り出しとなった。前年度に計上した海外事業の減損損失という一過性の要因を乗り越え、主力の国内事業やAI関連需要をバネに力強い回復を見せている。
1. 第1四半期決算の主なハイライト
発表された2027年3月期第1四半期の連結業績は以下の通り。
- 売上高:2,104億円(前年同期比7.5%増)
- 営業利益:417億円(同12.0%増)
- 営業利益率:19.8%(通期目標の20.6%に向けて順調な進捗)
デジタル変革(DX)やレガシーシステムのモダナイゼーション(近代化)需要が継続する中、AI駆動開発による生産性向上も寄与し、収益性が着実に改善している。通期の業績予想(売上高8,500億円、営業利益1,750億円)については据え置いたものの、経営陣の計画に対する自信は揺るぎないものとなっている。
2. セグメント別の動向:金融ITとIT基盤がけん引
セグメント別では、主力の国内領域が全体の成長を力強くリードした。
- 金融ITソリューション:証券や銀行向けのシステム開発および運用案件が好調を維持し、9%増収・19%増益と大きく伸長。
- IT基盤サービス:デジタルセキュリティ関連やクラウド関連の案件が活況を呈し、収益性が大幅に向上。
- コンサルティング:公共案件の予算成立遅れに伴う一時的な稼働率の低下などにより一部減益となったものの、民間向けでは内需型を中心に底堅い推移を見せており、特にAI活用に関するコンサルティング案件は前年同期比で5倍以上に急拡大している。
3. 次世代AI戦略と今後の展望
野村総合研究所は、生成AIをはじめとする「フロンティアAIモデル」に対応した高度なセキュリティ診断サービスや、業界・タスク特化型のLLM構築手法の高度化を矢継ぎ早に展開している。また、最先端のAI技術と社会インフラを融合させる「社会レジリエンスAI」構想の提言など、単なるITベンダーにとどまらない知見の提供も強めている。
受注高(当期売上予定分)も前年同期比10%増と高い伸びを記録しており、中東情勢やマクロ経済の先行きに対する慎重な見方を置きつつも、旺盛なDXおよびセキュリティ需要を取り込む同社の事業基盤は極めて堅固であると言える。長期経営ビジョン「NRI Group Vision 2030」に向け、次世代型サービスへのシフトを着実に加速させている。


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