物価上振れリスクを警戒、遅れへの懸念が利上げ後押し
日銀は15日から2日間の日程で開く金融政策決定会合で、利上げを決める方向で議論する。政策金利を現在の0.75%程度から1.0%程度へ引き上げる見通しだ。中東情勢の悪化による原油高など幅広い品目で物価上昇が続いており、基調的なインフレ率を押し上げるとの見方が強まっている。
日銀内では物価の上振れリスクを重視し、利上げが必要だという意見が広がっているとみられる。企業の価格転嫁の速度が増すなか、タイミングを逃せば後で大幅な利上げを迫られかねないとの懸念が日銀の背中を押している格好だ。
今回の会合では2027年4月以降の国債買い入れ計画についても検討される。市場での自由な金利形成が進んでいることなどから、減額ペースを緩めるかどうかが金利動向を見極めながら判断される見込みだ。なお今会合は植田氏が不在のため、氷見野氏が議長を務めて8人の多数決で決定される。
住宅ローンの負担増に懸念、若年層へのマイナス影響大
政策金利が1%に引き上げられれば1995年以来31年ぶりの高水準だ。家計にとって最も影響が大きいのが住宅ローンになる。日銀の政策金利に連動しやすい変動金利は上昇する可能性が高まる一方で、預金金利の引き上げによる恩恵も予想される。
みずほ総合研究所の試算によると、家計全体ではプラスとマイナスを差し引きして1世帯あたり年間2万円のプラスになるという。しかし住宅ローンなどの負債を抱える世帯に限定すると年間1万2000円のマイナスだ。特に金融資産が少なく住宅ローン残高が多い若年層への影響が大きい。
世帯主年齢が30代の世帯で年間2万1000円、29歳以下の世帯で1万4000円の負担増になる傾向が強い。具体的な事例として4000万円を返済期間35年の変動型で借り入れた場合を想定する。当初0.95%の金利が2年目に1.20%に上昇したとすると、いわゆる「5年ルール」が適用されても最終的な総返済額は191万円膨らむ計算だ。
日米金利差と為替への波及、今後の利上げペースが焦点
決定会合後の16日には、植田氏に代わって内田氏が記者会見を行う。今後の利上げペースについてどのような考えが示されるかが最大の焦点となる。2025年12月の会合では、会見での植田氏の発言が追加利上げに慎重と受け取られ、利上げ決定にもかかわらず円安が進行した経緯がある。
先週の円相場は一時1ドル160円50銭台後半まで下落し、為替介入の直前につけた160円70銭近辺に迫る場面があった。米連邦準備制度理事会も今週、ウォーシュ新議長のもとで金融政策を決める会合を開く。米国は金利据え置きが見込まれるものの、年内利上げの観測も広がっている。
日米の金利差拡大が意識されるなか、内田氏の会見内容が利上げに慎重な「ハト派」だと受け止められれば、円がさらに下落する可能性がある。一方で市場では再度の為替介入への警戒感もくすぶる状況だ。為替相場の緊張感が高まる場面も想定され、日銀からの発信に市場関係者の視線が集中している。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


コメント