2026年6月、住友商事はデジタル技術とAIを中核に据えた経営戦略を大幅に強化しています。総合商社としての現場知見にデジタル・AIを掛け合わせ、単なる業務効率化を超えた「事業変革」を推進する同社の動向をまとめました。
1. 新戦略「DAIS」による変革の深化
住友商事は、急速なデジタル・AI環境の変化に対応するため、新たに「デジタル・AI戦略(DAIS: Digital-AI Strategy)」を策定しました。
- 戦略の中核: グローバルに展開する900社のグループ事業会社と10万社の顧客接点を起点に、デジタル・AIを実装することで社会や産業の変革をリードすることを目指します。
- 数値目標: 2030年度には、2025年度比でROIC(投下資本利益率)を1%向上させる目標を掲げています。
2. 「SCSK」との連携によるフルスタックビジネスの拡大
グループ傘下のSCSKをはじめとするデジタルソリューション企業との共創を強化しています。
- 事業ポートフォリオの進化: ネットワンシステムズのグループ化により、SI(システムインテグレーション)とNI(ネットワークインテグレーション)を融合したフルスタックでの提案が可能となりました。
- 高付加価値化: AI導入効果の最大化やセキュリティリスク対応など、顧客の複雑な課題に対し、SI・NI・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を有機的に組み合わせた高付加価値なサービスを提供しています。
3. AIによる「自己変革」と現場への実装
社内では、AI活用による生産性の向上と人材育成が急ピッチで進んでいます。
- AI駆動型開発: 2年以内の「AI駆動型開発100%化」を掲げ、全社的な業務高度化を推進しています。
- DX人材育成: 「事業現場」「デジタルソリューション」「人財」の3要素を組み合わせ、全役職員がデジタル人材として変革を牽引できる組織づくりに注力しています。
- 環境貢献への活用: 2026年6月には、米国Graphyte社との合弁会社設立を通じてCO2除去(CDR)事業に参画するなど、環境分野でのデジタル・AI活用も着実に進めています。
4. 株式分割と市場環境
市場では、経営基盤の強化とともに積極的な還元策も注目されています。
- 株式分割: 2026年6月30日を基準日として、1株につき4株の割合で株式分割を行うことが発表されています。流動性を高め、より幅広い投資家層の参画を促す狙いです。
総評:商社から「デジタル・AI企業」への脱皮 住友商事のデジタル・AI戦略は、商社本来の強みである「現場へのアクセス」と「ビジネス構築能力」をデジタルで拡張する点に特徴があります。AIを単なる「ツール」ではなく、「競争力の源泉」としてビジネスの最前線に組み込む同社の取り組みは、今後の成長モデルにおける重要な試金石となるでしょう。
※本記事は2026年6月17日時点の公開情報に基づいています。投資判断の際は、最新の株価情報や決算資料をご確認ください。


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