Aave、伝統金融が「銀行」として評価 利益還元で変革の時

AAVE

分散型金融(DeFi)の貸付最大手であるAave(アーベ)が、伝統的な金融機関と同様の枠組みで評価されるフェーズに入った。6月24日、英金融大手スタンダードチャータード銀行がAaveの独自トークン「AAVE」に対する調査レポートを公開。DeFiプロトコルに対して同社が正式なカバレッジを開始するのは異例であり、市場からは「暗号資産が speculative(投機的)な資産から、収益を生む金融インフラへと成熟した証」との声が上がっている。

伝統的銀行が「銀行」として分析

スタンダードチャータードのアナリスト、ジェフ・ケンドリック氏は、Aaveを「予測可能なrecurring(継続的な)収益を上げる金融機関」と定義。銀行が預金や貸付から利息収入を得るのと同様に、Aaveのプロトコルが生成する膨大な手数料収入を精査し、2030年末までにトークン価格が3,500ドルに達する可能性があるとの強気な予測を掲げた。

同社の分析手法は、投資家にとって馴染み深いDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)モデルを採用している。これは、暗号資産を「将来の期待値」だけで語る時代から、「実質的なキャッシュフロー」で評価する時代への転換を象徴している。

「Aave Will Win」がもたらした構造変化

この評価を可能にしたのは、4月に可決された「Aave Will Win」提案だ。これにより、プロトコルから発生する全ての収益が、DAO(自律分散型組織)のトレジャリー(財務省)に直接流入する仕組みが構築された。いわゆる「フィー・スイッチ」が機能し、トークンホルダーがプロトコルの直接的な利益受領者となった。

  • 収益実績: 2025年通期の収益は9億700万ドル。2026年も年初から6月中旬までに3億3,300万ドルを稼ぎ出しており、通期で6億5,000万ドルを超えるペースで推移している。
  • 新基盤「V4」の稼働: 3月末に導入された次世代プロトコル「V4」は、ハブ・アンド・スポーク型のアーキテクチャにより、資本効率とリスク管理を大幅に最適化。機関投資家が求める「分離された流動性」を実現し、実社会の資産(RWA)を取り込む準備を整えた。

高まるレジリエンスへの信頼

DeFi市場が不安定さを増す中、Aaveの底堅さも改めて証明されている。6月中旬、市場全体の動揺により一時84億5,000万ドルという巨額の引き出しがプロトコルに殺到したが、Aaveは凍結や停止などの緊急措置を取ることなく、全額を問題なく処理した。

この出来事は、従来の銀行が取り付け騒ぎの際に緊急支援や引き出し制限に頼らざるを得ないのと対照的に、スマートコントラクトによる自己完結的な流動性管理能力の高さを示した。

投資家の視点:リスクと未来

一方で、投資家には慎重な目も求められる。DeFiには依然としてスマートコントラクトの脆弱性や、ガバナンスにおける意思決定の偏りという固有のリスクが存在する。スタンダードチャータードによる評価は追い風となる一方、市場はAIインフラに資金が集中するマクロ環境の中で、Aaveが真に「金利を生むデジタルインフラ」としての地位を確立できるかを冷徹に見定めている。

2026年後半、Aaveは「DeFiの実験場」から「オンチェーン金融の主役」へと脱皮を成し遂げられるか。世界中の金融機関がその動向を注視している。

※本記事は2026年6月26日時点の公開情報を基に作成しています。暗号資産投資には高い価格変動リスクが伴います。実際の売買にあたっては最新の市場環境を確認の上、自己責任で行ってください。

【免責事項】記事に掲載されている情報は、情報提供を目的としたものであり、投資助言を構成するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任と判断において行ってください。EIICHI JOURNALは、本記事の内容に起因して生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。暗号資産(仮想通貨)への投資には、価格変動(ボラティリティ)、流動性、市場環境、規制変更、手数料の変動など、さまざまなリスクが伴います。また、世界経済や金融市場の動向により、資産価値が大きく変動する可能性があります。なお、本記事には招待コードやアフィリエイトリンクが含まれる場合がありますが、これらは読者の利便性を目的として掲載されるものであり、EIICHI JOURNALが収益を得ることを目的としたものではありません。

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この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

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