キオクシア時価総額45兆円 一時トヨタ抜き国内2位

時価総額

半導体大手のキオクシアの時価総額が急膨張している。株式市場で同社の時価総額は一時45兆円規模に達し、トヨタ自動車を上回って国内2位に浮上する場面があった。5月下旬に三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて3位になったばかりだが、さらに順位を上げた格好だ。市場では同社が示した成長戦略や新たな株主還元策への期待が急速に高まっている。

キオクシアは前日に投資家向けの説明会を開催した。その席上で上場以来初となる株主配当を2027年度から開始する方針を明らかにした。これまで同社は手元資金を最先端半導体の開発や設備投資に優先して振り向けてきたが、収益基盤の安定に伴い株主還元にも踏み出す。この方針が市場に驚きと好感をもって受け止められた。

さらに投資家の買い勢いを加速させたのが、同社が発表した大規模な設備投資計画だ。人工知能(AI)の普及に伴い、データセンターなどで使われる記憶用半導体(NAND型フラッシュメモリー)の需要は世界的に爆発的な伸びをみせている。キオクシアはこの需要を取り込むため、最先端工場の生産能力を大幅に増強する方針を掲げた。

説明会に登壇した同社の最高財務責任者(CFO)は、現在の半導体市場の活況について、一時的なブームにとどまらない長期的な需要拡大の波、いわゆる「スーパーサイクル」に入っていくとの見方を示した。同CFOは、生成AIの進化によってデータ処理量が天文学的に増加しており、同社が手がける高付加価値メモリーの重要性は一段と高まっていると説明した。

市場関係者からは、今回の設備投資計画が同社の世界シェア拡大に直結するとの見方が多い。一方で、半導体産業は市況の変動が激しい「シリコンサイクル」を繰り返してきた歴史がある。巨額の投資が将来的に供給過剰を招くリスクを懸念する声も一部にはあるが、現在の旺盛な需要を前にして市場の楽観論が全面的に勝っている状況だ。

今回の時価総額の逆転劇は、日本株市場における主役の交代を象徴する出来事ともいえる。長年にわたり国内時価総額の首位を守ってきたトヨタ自動車に対し、デジタル社会のインフラを担う半導体企業が猛追する構図だ。自動車産業も電動化や自動運転化で半導体の塊となっており、キオクシアの存在感は産業界全体で高まり続けるとみられる。

株価の急上昇を受けて、同社の今後の動向には海外の機関投資家からも熱い視線が注がれている。2027年度からの配当開始に向け、同社がどれだけ着実に利益を積み上げられるかが今後の焦点だ。市場の期待が先行する中で、発表された設備投資計画をいかに迅速かつ効率的に実行に移せるかが、同社の真の企業価値を決定づけることになる。

今後もAI市場の拡大とともに、メモリー半導体の争奪戦は激化の一途をたどる。キオクシアがこのまま国内トップクラスの時価総額を維持し、世界的な半導体大手としての地位を不動のものにできるか、市場の関心は尽きない。同社の次なる一手に注目が集まっている。

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この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

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