メタプラネット(東証スタンダード、証券コード3350)の株価が300円の壁を前に下値模索を続けている。5月28日には一時279円まで沈み、mNAV(時価総額÷ビットコイン保有評価額)は0.9前後と1倍割れが常態化しつつある。2026年3月末時点の保有量は40,177BTCと世界3位の規模に達しながら、株式市場の評価は保有資産を下回る水準にとどまっている。ビットコイン積み増し戦略の是非が、改めて問われ始めている。
株価はBTCの増幅装置
メタプラネット株の特性を一言で表すなら「レバレッジのかかったビットコイン連動型銘柄」だ。株価とビットコイン価格の相関係数は0.9前後とされ、ビットコインが20%下落した局面で株価が80%超下落した事例もある。上昇時の恩恵も同様に大きく、2024年4月に約20円だった株価は2025年に一時1,930円の最高値をつけた。しかし直近では最高値比で約85%下落した水準で推移しており、ビットコイン価格の上値が重い局面では株価の回復も限られる構図が続く。日本では現物型ビットコインETFが未承認のため、機関投資家や個人投資家にとって同社株が間接的なビットコイン投資手段として機能してきた側面もある。
mNAV1割れが示す評価
mNAVは市場が企業の「ビットコイン保有以外の価値」をどう評価しているかを示す指標だ。1倍超なら将来の成長戦略や資金調達力にプレミアムが乗っており、1倍割れは理論上「直接ビットコインを買う方が割安」を意味する。現在の0.76倍という水準は、継続的な新株発行による株式希薄化リスクへの警戒が色濃く映し出されている。mNAVはかつて2024年7月に約8倍の最高値を記録したが、2025年10月には一時0.88倍まで低下し、現在もその水準近辺で推移する。一方、米ストラテジーのmNAVは1.26倍を維持しており、両社の市場評価には依然として明確な格差がある。
本業収益と評価損の乖離
2026年第1四半期(1〜3月)決算では、連結売上高30億8,000万円(前年同期比251.1%増)、営業利益22億6,700万円(同282.5%増)と本業は前年同期比で約3.5倍に拡大した。収益をけん引したのはビットコインデリバティブのオプションプレミアム収入で、25億3,600万円と前年同期(7億7,000万円)から急増した。しかしビットコイン価格が四半期中に約22%下落し、評価損1,163億5,600万円を計上。最終的に1,144億9,300万円の純損失となった。現行の日本会計基準では期末時価評価が損益に直結するため、保有規模が増すほど価格変動の財務インパクトも膨らむ構造となっている。
BTCイールドと希薄化
同社が投資家向けの主要KPIに据えるのが「BTCイールド」だ。これは希薄化後株式数に対するビットコイン保有量の増加率を示し、新株発行で株数が増えても1株あたりのビットコイン保有量が増えているかを測る指標となる。第1四半期は2.8%を記録し、1,000株あたりの保有量は0.0240486BTCから0.0247319BTCへ増加した。資金調達による希薄化を一定程度相殺できているとする一方、伸び率は前四半期から鈍化している。mNAVが1倍を下回る状態では新株発行コストが割高になるため、今後の調達環境が指標の維持に直結する。
規制と税制が焦点
制度面では追い風と逆風が交錯している。金融庁は2026年度税制改革で法人保有の仮想通貨への課税を、株式と同様の分離課税(約20%)へ変更するよう要望している。実現すれば期末評価損の財務インパクトが大幅に緩和され、同社の損益構造は大きく改善する可能性がある。一方、JPXが仮想通貨トレジャリー企業への規制強化を検討しているとの報道が2025年11月に流れ、株価下落の一因となった。同社はこれを否定しているが、制度環境の不透明感が投資家心理の重しとなっている。
10万BTC達成の実現性
同社は2026年末に10万BTC、2027年末に21万BTCの保有を目指す「555ミリオン計画」を掲げる。現時点の40,177BTCから2026年末までに残り約6万BTCを積み増すには、今後半年で現保有量の1.5倍に相当するビットコインを取得する必要がある。BTC担保融資に特化した米国・グローバル金融機関との連携で数億ドル規模の流動性へのアクセスは確保しているとするが、mNAVが1倍を回復できるかどうかが資金調達コストを左右する。ビットコイン価格の回復と制度面の整備という2つの条件が揃うかどうかが、目標達成の鍵を握っている。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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