ソフトバンクグループの株価が急騰している。6月1日には時価総額が48兆7000億円に達した。トヨタ自動車の45兆8000億円を抜き、日本企業のトップに躍り出た。この記録的な株価上昇の背景には、生成AI(人工知能)市場の急拡大と同社が描く成長戦略がある。株式市場の動向と戦略について、経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
オープンAI上場観測が起爆剤
今回の株価上昇ラリーの直近の起点となったのが、5月21日と22日の2日間で30%以上も上昇した急騰劇だ。時価総額が35兆円規模に及ぶ超大型株が、短期間でこれほど急激に値を上げるのは極めて異例のことだ。
この歴史的な急騰を引き起こした最大のトリガーは、生成AIの分野で世界を牽引するオープンAIの上場に関する具体的な期待が市場で急速に高まったことだ。同社の企業価値はすでに1000億ドル(約16兆円)に達しているとみられ、市場の関心が一気に高まった。古賀氏は、オープンAIの上場観測が市場のセンチメントを劇的に好転させたと分析する。
純利益5兆円超、AI全賭けへの懸念を払拭
市場の一部には、同社の投資姿勢に対して「AI全賭け」という懸念もあった。しかし、直近の決算発表がその不安を吹き飛ばした。
発表された決算では、純利益が5兆円を超える驚異的な数字を記録した。保有する投資資産の価値が大幅に向上し、底堅い業績を示した。古賀氏は、この決算内容が市場の懐疑論を完全に打ち消す決定打になったと語った。単なる期待先行の相場ではなく、実態を伴った成長だとの見方が広がっている。
孫氏が見据えるASI戦略の全貌
ソフトバンクグループを率いる孫正義氏は、すでに生成AIの先にある「ASI」(人工超知能)戦略を見据えている。ASIは、人間の知能の1万倍に達するような究極の知能を指す。
孫氏はこれまでもテクノロジーのパラダイムシフトを予見し、果敢な投資を続けてきた。同社の未来戦略は、単なる投資会社にとどまらず、ASI時代のインフラを支配することにある。傘下の半導体設計大手、英アームを中核に据え、データセンターや電力供給までを含めた巨大なAIエコシステムの構築を急ぐ。
市場関係者の間では、孫氏のビジョンが具現化しつつあるとの評価が強まっている。古賀氏は、今後の成長のカギはASI戦略の進捗状況にあるとした。
主役交代が示す日本市場の未来
トヨタを抜いて時価総額トップに立ったことは、日本市場における主役の交代を象徴している。伝統的な製造業の絶対王者に対し、テクノロジーと投資の力で挑む同社が首位になった意味は大きい。
世界的なAIブームの波に乗り、同社のモメンタムは当面続くとみられる。しかし、ハイテク株全体の調整リスクや、米国の金融政策の動向など、外部環境の不確実性には注意が必要だ。
古賀氏は、オープンAIの実際の上場時期や、同社の投資ポートフォリオの現金化のスピードが今後の焦点になると指摘した。市場の熱狂が続く中で、同社がどのような次の一手を打つのか世界が注目している。


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