東京大学と米AI開発企業アンソロピックは6月4日、国内における生成AIの利用状況を把握し、その影響を分析する取り組みで連携すると発表しました。アンソロピックが日本の学術機関と提携するのは今回が初めてとなります。
調査の目的と「Japan AI Index」

本プロジェクトでは、アンソロピックが提供する対話型AI「クロード(Claude)」の利用データと政府の公的統計を組み合わせ、生成AIが企業の経営、国の政策、教育に与える影響を多角的に分析します。
- 指標の策定: 分析結果は「Japan AI Index」という指標としてまとめられ、秋ごろの公表を目指します。
- 分析内容: 雇用や賃金に関する統計を活用し、生成AIの活用が企業の生産性や賃金にどの程度の影響を与えたのかを解明します。
- 継続的な更新: データは世界各国との比較が可能で、3カ月〜半年ごとの更新が計画されています。
東京大学松尾研およびPKSHAとの強力なタッグ

データ解析は、AI研究で著名な東京大学の松尾豊教授の研究室が担います。アンソロピック側は、松尾教授の学術および政策面での活躍を評価し、日本での最適な連携先として注目していました。
また、松尾研発のスタートアップであるPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)も本プロジェクトに参画します。同社は指標の活用方法についての議論や、導入企業の拡大を支援する役割を担い、中長期的な価値創出を目指します。

日本における「データ駆動型」調査の重要性
これまで日本国内ではアンケートベースの報告書などが主流でしたが、実際の利用データに基づいた調査は非常に珍しい取り組みです。
松尾・岩澤研究室の岩澤有祐准教授は、職種や業種ごとのAI活用の違いや、導入が遅れている企業の要因分析に役立てる意向を示しており、本指標が「今後3年間でデファクトスタンダード(事実上の標準)になること」を目標に掲げています。
今後の展望と課題
アンソロピックはすでに世界規模で匿名化したデータを解析する「エコノミックインデックス」を公開しており、そのうち約3%が日本のデータとなっています。
一方で、今回の取り組みには課題も残されています。現在は「クロード」の利用情報にデータが偏っているため、日本全体の利用実態を網羅するには情報量が不足する可能性があります。そのため、今後のさらなる精度向上のためには、他のAI関連企業の参画が不可欠となっています。


コメント