世界最大の企業ビットコイン保有企業として知られるStrategy Inc.(旧マイクロストラテジー、ティッカー:MSTR)が、重大な局面を迎えている。2026年6月下旬、同社株は一時100ドルの心理的節目を割り込み、2025年7月の最高値(457.22ドル)から8割以上下落する展開となった。ビットコイン価格の低迷に加え、同社が推進してきた独自の財務モデルが市場の厳しい審判にさらされている。
累積する「含み損」と問われる財務の持続性
同社は2026年6月時点で、約84万7,363BTCという圧倒的な保有量を誇る。しかし、ビットコインの価格調整により、保有資産の評価額は購入コストを大きく下回っており、推定で140億ドル規模の含み損を抱える状況にある。
さらに懸念されているのが、同社が発行する優先株「STRC(通称:Stretch)」を巡る資金調達モデルの綻びだ。同社はSTRCの配当支払いに充てるため、2022年以来初となるビットコイン売却に踏み切った。STRCの市場価格が額面割れを起こし、配当利回りが上昇する中で、投資家の間では「ビットコインを担保に、さらなる債務を重ねる」という同社の自転車操業的な調達構造に対する懸念が急速に広がっている。
突きつけられた市場の審判
市場関係者の視線は冷ややかだ。多くのビットコイン投資家が、同社を「ビットコインへの直接的な投資の代替」として評価してきたが、足元の株価急落は、この「ビットコイン連動型」の投資妙味が薄れていることを示唆している。一部の著名投資家からは、ビットコインを売却して自社株買いに充てるよう求める声も上がっており、経営陣はビットコインの買い増し路線を継続するか、株主還元への転換を迫られる二者択一の状況にある。
「ビットコイン・トレジャリー」の先駆けとしての試練
一方で、マイケル・セイラー氏率いる経営陣は、ビットコインへの強気な姿勢を崩していない。6月にも約520BTCを追加購入するなど、買い付けのペースは落としつつも、積立戦略を維持する姿勢を鮮明にしている。
かつては「ビットコイン・トレジャリー」の成功モデルとして称賛された同社の財務戦略だが、現在の市況下では、そのレバレッジの高さが逆風となっている。同社が発行する証券は、ビットコイン価格が再び上昇軌道を描かなければ、資金調達の「生命線」から「財務リスクの火種」へと変貌する恐れがある。
投資家は今、同社が描く壮大なビットコイン実験が、「革新的な資本戦略」なのか、それとも「過剰債務が生んだ砂上の楼閣」なのかを厳しく見極めようとしている。7月末に予定されている決算発表で、同社がどのように調達構造の再構築を説明するのか、市場の注目はかつてないほど高まっている。
※本記事は2026年6月26日時点の公開情報を基に作成しています。株式および暗号資産投資には価格変動リスクが伴います。売買にあたっては最新の市場環境や決算資料を確認の上、ご自身の判断で行ってください。
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