仮想通貨規制の包括的法案である「クラリティ法案(Clarity Act)」の成立に向け、米上院で土壇場の調整が続いている。8月7日の休会入りを目前に控え、共和党のトム・ティリス議員と民主党のルーベン・ガレゴ議員の超党派コンビが、最大の争点となっている倫理規定に関する新たな妥協案をホワイトハウスに送付したことが明らかになった。
ホワイトハウスを巡る倫理規定の攻防
法案成立に向けた最大の障壁となっているのは、大統領および公職者の利害対決を防ぐための倫理条項を巡る与野党の溝である。
民主党側は、ドナルド・トランプ大統領の就任前に立ち上げられたミームコインや、一族が関与するワールド・リバティ・Financial(WLF)などを念頭に置き、厳格な利益相反の防止規定を求めてきた。
先週に提示された妥協案のドラフトでは、公職者本人とその配偶者によるデジタル資産の発行・スポンサーを禁止する一方、その他の家族は対象外とされていた。さらに、司法省に執行権限を与えつつ、2029年1月で失効する「サンセット条項」が盛り込まれていたため、「実質的に倫理規定の意味をなくすものだ」として民主党側や関係者から強い反発を買っていた。今回、ティリス・ガレゴ両議員が新たに送付した妥協案が、この膠着状態を打破できるかどうかが最大の焦点となっている。
8月7日の休会入りに向けたカウントダウン
上院は8月7日の夏季休会を前に時間との戦いを強いられている。現時点で同法案は、可決に必要な60票の賛成票を確保するのに難航しており、来週中に本会議での採決に至る見通しは不透明な情勢だ。
上院多数党院内総務のジョン・スーン議員は、政府予算の確保や人事承認案件、そしてクラリティ法案を優先課題に挙げているが、まずは手続き上の投票から入る可能性も示唆している。
与野党の対立と業界からの懸念
民主党が十分な倫理規定の担保を求める一方で、法案は一部の共和党議員からも懸念の声に直面している。特に、ステーブルコインの利回り(リワード)機能を巡っては、伝統的な銀行預金の資金流出を懸念する銀行セクターと、イノベーションの停滞を危惧する仮想通貨側との間で激しいロビー活動が続いている。
こうした中、スコット・ベッセント財務長官は自身のX(旧ツイッター)上で、法案停滞の責任は政治的駆け引きを優先する野党側にあると強く非難。「米国が仮想通貨産業を自ら手放し、他国に主導権を譲るような選択をすることは歴史的失策だ」と早期成立を訴えている。また、仮想通貨イノベーション協議会(CCI)なども、米国が迅速に行動しなければ、規制の明確化を進める欧州連合(EU)などの他国に市場の主導権とドルの優位性を奪われることになると警告を発している。
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