分散型デリバティブ取引所ハイパーリキッドをめぐり、CMEグループとインターコンチネンタル取引所(ICE)が米商品先物取引委員会(CFTC)に対して規制強化を強く要求したことが明らかになった。CMEとICEは連名で提出した書簡の中で、ハイパーリキッドが登録された米国の取引所・清算機関を迂回(うかい)して大規模な先物取引を提供していることが市場操作リスクと経済制裁回避リスクを高めていると主張し、規制当局が介入すべきだと求めた。
この動きは単純な規制上の懸念だけではなく、CMEやICEが分散型取引所との競争激化を警戒していることの表れとも解釈されている。ハイパーリキッドはビットコインやETHの無期限先物取引で急速にシェアを拡大しており、取引高の伸びは既存の中央集権型取引所を上回るペースで推移している。CMEとICEはともに24時間取引可能な仮想通貨市場の構築を進めており、規制上の優位性を活用してハイパーリキッドの成長に歯止めをかけようとしているとみられる。
規制強化要求を受け、ハイパーリキッドの主要マーケットメーカー2者が5月18日に行動を起こした。両者はBTCとETHを中心に合計約1億ドル(約159億円)相当の流動性をプラットフォームから引き揚げた。これにより板の厚み(デプス)が大幅に低下し、大口注文を消化する際のスリッページ(約定価格のずれ)が拡大するとともに、大口取引のコストが上昇した。流動性の低下は通常、価格の不安定化を招く要因となるため、市場参加者の間に一時的な懸念が広がった。
しかし市場の反応は予想外のものとなった。ハイパーリキッドのネイティブトークンHYPEは同日13%の急騰を記録した。投資家は短期的な規制リスクよりも、ハイパーリキッドが生み出す圧倒的な収益力と成長の持続性を評価したとみられる。ビットワイズなど複数の仮想通貨資産運用会社が同日相次いでHYPEの割安さを訴えるリポートを公表したことも追い風となった。また、ハイパーリキッドが今回の規制要求に対して法的対応を検討しているとの報道も一部では伝わっており、プラットフォームの存続可能性についての懸念を和らげた。
今後の焦点はCFTCがCMEとICEの要求にどう応じるかだ。バイデン政権下では規制強化姿勢が強かったが、現在のトランプ政権はフィンテックや仮想通貨に対して友好的な立場を維持しており、CFTCが強硬な規制に踏み切る可能性は低いとの見方が業界では優勢だ。一方でCMEとICEが本格的なロビー活動を展開すれば状況が変わる可能性もあり、ハイパーリキッドをめぐる規制の行方は当面、市場の注目を集め続けるとみられる。


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