仮想通貨デリバティブ取引所ハイパーリキッドのプラットフォーム上で、SpaceXのIPO前の企業価値に連動する無期限先物取引「SPCX」が18日に開始された。分散型金融プラットフォームのTrade.xyzが設計・提供するこの商品は、SpaceXの参照評価額を1.78兆ドル(約283兆円)に設定している。これはサウジアラムコの時価総額約1.8兆ドルに匹敵する規模であり、SpaceXが上場すれば世界有数の大型銘柄になるとの市場の見方を反映している。
この商品の仕組みは独特だ。実際のSpaceX株式ではなく、ブロックチェーン上で合成的にその株価エクスポージャーを提供するもので、ハイパーリキッドの流動性プールとオラクル(外部データ取得機能)を活用して価格が決定される。投資家はSpaceXが正式に上場する前から、仮想通貨ウォレットさえあれば世界中からその株価変動にベットできる。従来、未上場企業への投資はベンチャーキャピタルや一部の認定投資家に限られていたが、オンチェーン先物はその壁を大幅に下げる可能性を秘めている。
この新商品の発表を受けHYPEは24時間で7%上昇した。ハイパーリキッドはビットコインやETHの無期限先物で急成長を遂げたが、近年は株式、商品、外国為替、予測市場など仮想通貨以外の資産クラスへの展開を積極的に進めている。今回のSpaceX先物は、「仮想通貨取引所」から「あらゆる資産を取り扱うグローバルな分散型取引所」への進化を象徴する一手として業界内で高く評価されている。
SpaceXのIPOについては、ナスダックが上場先に選定されたとの報道が相次いでおり、早ければ2026年6月12日にも新規株式公開が実現する可能性があるとされる。イーロン・マスク最高経営責任者は従来IPOに否定的だったが、SpaceXのスターシップ計画や衛星通信サービス「スターリンク」の事業化が進む中で上場機運が高まっている。IPO前にオンチェーンで価格形成が進む今回の仕組みは、仮想通貨が資本市場のインフラとして機能し始めたことを示す事例として注目されている。
ビットワイズのCIOであるマット・ハウガン氏はこの商品について、「仮想通貨市場と伝統的金融市場の境界が急速に溶けていることを示す」と評価した。ただし合成先物としての価格がIPO後の実際の株価とどの程度連動するかについては不確実性が残っており、投資家は仕組みを十分に理解したうえで参加する必要がある。


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