テスラ、中国販売が前月比40%急増も株価は下落――「自動運転」を巡る法廷闘争が重荷に

テスラ

テスラ(TSLA)は、中国・上海ギガファクトリーにおける5月の電気自動車(EV)納車台数が前月比で約40%急増したと発表したものの、米国市場のプレマーケット取引では株価が1%以上下落した。販売の力強い回復にもかかわらず、投資家が懸念の目を向けているのは、中国市場における完全自動運転(FSD)戦略を巡る法的な不透明感である。

上海工場は好調、市場シェアを維持

中国乗用車協会(CPCA)の速報データによると、テスラの5月の納車台数は8万5,982台に達した。これは4月から39.4%の急増であり、販売不調への懸念を一時的に払拭する数字となった。中国のEV市場全体においても、総販売台数が136万台(前年同月比12%増、前月比11%増)となり、市場全体が「初期回復」の兆しを見せている。

この波は競合他社にも及んでおり、BYDは8カ月続いた減少トレンドに歯止めをかけたほか、リープモーターやジーカーは前年比80%以上の急増を報告した。

FSDを巡る「虚偽宣伝」の提訴

好調な販売実績とは対照的に、テスラの株価を押し下げている最大の要因は、中国での完全自動運転(FSD)機能の展開に対する法的疑義である。

  • 訴訟の発生: 5月29日の報道によると、中国の自動車所有者10人が、テスラが規制当局の完全な承認を得ていないにもかかわらずFSD機能が利用可能であるかのように宣伝したとして、虚偽宣伝でテスラを提訴した。
  • 規制の壁: テスラは5月21日に「完全自動運転(監視付き)システム」の中国利用が可能になったと発表したものの、実際に一般消費者が利用できているかについては不明な点が多く、規制当局との摩擦が続いている。

ウォール街の慎重な評価

こうした状況を受け、テスラに対するウォール街の評価は依然として厳しい。

  • 目標株価と評価: JPモルガン・チェースのアナリスト、ラジャット・グプタ氏は「売り」レーティングを維持し、目標株価を145ドル(現在の水準から約65.78%の下落を示唆)に設定した。
  • 市場の総意: TipRanksが追跡するアナリストの総意では「ホールド」が優勢であり、12カ月の平均目標株価は384.54ドルと、現在から約8%の下落が見込まれている。

生産規模を拡大する能力を証明した一方で、テスラのバリュエーションは「自動運転の成功」という将来性に大きく依存している。中国という巨大市場でのFSD展開が法的混乱に直面している現状は、強気派が期待する同社の技術的プレミアムを損なうリスクとして、投資家の間で懸念を呼んでいる。

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この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

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