政府・与党は、令和9年度(2027年度)の税制改正に向けた議論を本格化させる。6月下旬から経済財政諮問会議や税制調査会において、企業収益の拡大を賃金上昇へとつなげる「成長と分配の好循環」のさらなる加速が焦点となる見通しだ。デフレ脱却を確実なものとし、持続的な経済成長を実現するため、企業の投資意欲を刺激する税制措置のあり方が議論の俎上に載る。
「賃上げ促進税制」の延長と拡充へ
最大の焦点は、現在実施されている「賃上げ促進税制」の取り扱いだ。政府内では、人手不足が深刻化する中小企業を含め、構造的な賃上げを後押しするため、同税制を延長した上で、要件の緩和や控除率の上乗せを検討すべきとの意見が強まっている。
特に、AI活用による生産性向上を賃上げの原資とする企業に対する優遇措置については、産業界からも期待の声が大きい。政府は「人への投資」を促す税制が、企業の収益力強化と従業員の所得向上という両輪を回すための重要な手段であると位置づけている。
成長投資を促す「イノベーション減税」
また、岸田政権下で議論が進められてきた「イノベーション促進税制」の拡充も重要課題の一つだ。スタートアップ支援や、脱炭素、デジタルといった成長分野への設備投資を対象とした減税措置を強化することで、民間資金を呼び込み、停滞する国内の資本ストックの更新を急ぐ。
一方で、懸念材料もある。防衛費増額や少子化対策といった歳出圧力が高まる中、税収の中立性をどう確保するかだ。法人税や所得税の減税を主張する声がある一方で、財源確保に向けた検討も並行して求められており、与党税調では「メリハリのある税制」への転換が求められる。
外国投資家を意識した市場環境整備
税制改正の議論は、日本株への海外投資家の関心を維持する観点からも重要となる。配当課税や証券税制については、NISA(少額投資非課税制度)の定着を踏まえつつ、より中長期的な資産形成を促す枠組みが議論される。日本経済新聞が報じた「金融所得課税のあり方」を含め、投資家の心理を冷やさない慎重かつ戦略的な税制構築が不可欠だ。
政府は今後、秋の概算要求を経て、年末の税制改正大綱の取りまとめに向け、産業界や学識経験者からのヒアリングを加速させる。令和9年度の税制は、単なる税負担の軽減にとどまらず、少子高齢化という構造的課題に直面する日本経済が、再び成長軌道を描くための「羅針盤」となることが求められている。
※本記事は2026年6月22日時点の公開情報を基に作成しています。実際の税制改正内容は、今後議論される大綱の決定に基づきます。具体的な影響については、適宜最新の政府発表や税理士等の専門家にご確認ください。


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