イーサリアム、1,600ドル割れの攻防──歴史的な調整局面と「大口蓄積」の綱引き

イーサリアム

分散型金融(DeFi)の基盤であるイーサリアム(ETH)が、分岐点を迎えている。2026年7月1日現在、価格は1,600ドル前後の水準で推移している。イーサリアムは2025年後半以降、3四半期連続で四半期ベースの下落を記録するという歴史的に珍しい調整局面にあり、市場では今後の底堅さを巡って強気派と弱気派の攻防が激化している。

3四半期連続のマイナス、過去にない調整

コイングラス等のデータによると、イーサリアムは2025年第4四半期から2026年第2四半期まで3四半期連続でマイナスリターンを記録した。これは同資産の取引履歴において初めての事態であり、過去の弱気相場と比較しても異例の「重い」展開が続いている。

特に2026年6月後半は、米国でのインフレ指標(PCE)の再燃や、AI関連株の調整に伴うリスクオフの動きが市場を直撃した。ビットコインが6万ドルを割り込むなか、イーサリアムも一時的に上値を抑えられ、2025年4月の暴落時のサポートゾーン近辺まで値を下げている。

大口投資家の「買い」とネットワーク活動の低下

市場のセンチメントを複雑にしているのが、オンチェーンデータで見られる「二面性」だ。

  • 大口投資家(クジラ)の蓄積: ガラスノード(Glassnode)のデータによれば、1,000〜10,000 ETHを保有する大口アドレスの数が6月下旬に急増した。米ナスダック上場企業のシャープリンク(Sharplink)が1万ETHの追加購入を発表するなど、機関投資家による「安値圏での仕込み」が観測されている。
  • ネットワーク活動の低迷: 一方で、アクティブアドレス数は年初から約46%減少しており、ネットワーク自体の利用活性度は依然として底打ちの兆しが見えない。投機的な需要が収束し、実需の回復が待たれる状況にある。

次なる焦点:「Glamsterdam」とロードマップ

市場の視線は、2026年後半に予定されている主要アップグレード「Glamsterdam(グラムステルダム)」に注力されている。これは「マージ」以降で初めてベースレイヤーの処理能力強化を狙うハードフォークであり、以下の改善が期待されている。

  • ブロックレベルのアクセスリスト導入: トランザクション処理の並列化を実現し、コストと速度の予測可能性を高める。
  • L2(レイヤー2)最適化: 既存のロールアップ技術を深化させ、手数料を一層引き下げることで、DeFiやトークン化資産の需要を取り込む狙いがある。

展望:回復の「正念場」

7月はイーサリアムにとって、四半期ベースの連敗を止めることができるかどうかの正念場となる。歴史的に第3四半期は方向感が出にくい時期とされるが、FRBの金融政策決定会合(FOMC)などのマクロ経済イベントを控え、市場は「デジタル金融インフラ」としての本質的価値を再評価しようとしている。

大口による構造的な買い集めがこのまま継続し、Glamsterdamアップグレードへの期待感と合致した場合、底堅い基盤を築ける可能性も残されている。しかし、現在の軟調なネットワーク利用統計が続けば、上値の重い展開を強いられる公算も大きい。2026年後半、イーサリアムは「投機」から「実需」への転換を証明できるか、その真価が問われている。

※本記事は2026年7月1日時点の情報を基に作成しています。暗号資産投資には高い価格変動リスクが伴います。売買にあたっては最新の市場環境や技術動向を確認の上、ご自身の判断で行ってください。

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この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

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