セルシウス、破綻処理が最終局面へ──債権者への分配総額は25億ドル超

セルシウス

かつて暗号資産(仮想通貨)貸付で一世を風靡したセルシウス・ネットワーク(Celsius Network)の破綻処理が、最終局面を迎えている。2022年7月の連邦破産法第11章(チャプター11)適用から約4年を経て、同社は2026年6月末までに、対象となる債権者に対して累計25億ドル(約4,000億円超)以上の現金および暗号資産の分配を完了したことが明らかになった。

破綻からの軌跡──「出口」としての清算へ

セルシウスはコロナ禍における暗号資産ブームを背景に急成長したが、2022年の市場急落により財務が崩壊。約12億ドルに及ぶバランスシート上の「穴」が発覚し、全口座の引き出し停止という異例の措置を講じた末に破綻した。

同社は2024年1月に破産手続きからの脱却を宣言し、業務を順次停止(ワインディング・ダウン)させる再編計画を実行に移してきた。これに伴い、モバイルアプリおよびウェブサイトは同年2月末に閉鎖されている。現在は裁判所が承認した再編計画に基づき、残存資産の換金と債権者への分配を専門とする管理チームが手続きを進めている。

債権者への分配状況と残された課題

最新の報告によると、分配対象となる債権者約37万2,000人のうち、既に約25万1,000人が受け取りを終えており、全体の分配率は93%に達している。分配にはビットコインやイーサリアムなどの暗号資産のほか、新たに設立されたビットコインマイニング企業「Ionic Digital」の株式が含まれるなど、多角的なスキームがとられている。

一方で、手続きの複雑さが障害となっている側面も否定できない。残る約12万人の未受領者の多くは、少額債権を保有する個人投資家であり、本人確認(KYC)手続きや、受取先となるコインベース等のプラットフォームでの口座開設が壁となり、権利行使に至っていないケースが散見される。運営側は「少額債権については、手続きコストを上回る回収が見込めない場合もある」としており、債権者が自らアクションを起こさない限り、分配の機会を逃すリスクも残る。

規制当局による追及と「教訓」

セルシウスの元CEOであるアレックス・マシンスキー氏は、顧客を欺いたとして証券取引委員会(SEC)や米連邦取引委員会(FTC)など複数の規制当局から提訴されており、詐欺罪での刑事訴追も受けている。

この破綻劇は、透明性を欠いた「ブラックボックス」型の暗号資産運用モデルがいかに脆いかを露呈させた。現在、債権者への分配は「清算」という形で幕引きに向かっているが、同社が抱えていた巨額の損失と、それに巻き込まれた数多くの個人投資家の痛みは、暗号資産市場におけるリスク管理の重要性を象徴する事象として刻まれている。

今後、セルシウスの清算プロセスはさらに細分化された資産の回収を続け、最終的な解散へと向かう。かつてのWeb3の寵児は、現在の市場において「教訓」という形でその名を留めることになるだろう。

※本記事は2026年7月1日時点の公開情報を基に作成しています。本件に関する手続きの詳細や、ご自身の債権確認については、セルシウスが指定する公式サイト(claimsportal.celsius.network)をご確認ください。

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この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

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