【市場分析】ステラ(XLM)が一週間で5割高、米決済巨頭DTCCとの統合背景=需給逼迫と反落リスクの相克

ステラXLM

相場概況:市場逆行高を見せたステラ、背景に米証券決済インフラとの巨大提携

暗号資産(仮想通貨)市場全体が週間で約5%下落と軟調に推移する中、ステラ(XLM)が驚異的な逆行高を演じている。XLMの価格は今週だけで50%を超える急騰を記録した。

この強力な買いモメンタムの原動力となったのが、米国の金融インフラ大手「DTCC(国際証券決済処理機構)」による、ステラ・ネットワークとの統合発表である。

DTCCの圧倒的な規模感: 米国における大半の証券取引の清算・決済を一手に担う巨大機関であり、その日次処理金額は10兆〜12兆ドル(約1593兆〜1912兆円)に及ぶ。日本の証券保管振替機構(ほふり)や日本証券クリアリング機構(JSCC)に相当する金融界の要だ。

発表の骨子: DTCCは水曜日、自社のトークン化証券プラットフォームをステラ・ネットワークへ統合し、2027年前半の稼働を目指すと公表。実物資産(RWA)や株式・債券をブロックチェーン上で発行・管理する「証券のトークン化」という潮流において、伝統金融とWeb3の融合を象徴する特大材料となった。

この材料を好感し、XLMは一時51.75%急騰。金曜日には1月以来の高値となる0.224ドル(約35.7円)をつけ、出来高の急増を伴う健全な買い手の流入が確認された。

需給分析:ショートスクイーズの発動と過熱するレバレッジ

今回の急騰劇をさらに加速させたのが、デリバティブ市場における弱気派の踏み上げ(ショートスクイーズ)である。

暗号資産データ分析を専門とするCoinGlassの統計によると、5月28日以降、ステラ関連のショートポジション(売り持ち)の強制ロスカット額は1241万ドル(約19億8000万円)に到達。これはロングポジションの清算額682万ドル(約10億9000万円)の約1.8倍にのぼり、売り手の買い戻しがさらなる上昇圧力を生む連鎖反応が起きたことを示している。

価格は0.15ドル(約23.9円)近辺から一気に0.224ドル(約35.7円)まで跳ね上がったが、注目すべきは同期間にデリバティブの「未決済建玉(OI)」もほぼ倍増し、金曜日時点で2億9211万ドル(約465億円)に達した点だ。これは単に既存のショートが解消されただけでなく、上昇の過程でレバレッジをかけた新規の買い注文が大量に積み上がったことを意味しており、需給面でのボラティリティが高まりやすい状態にある。

テクニカル分析と今後のシナリオ:重要抵抗帯での攻防

急激な上昇を遂げたXLMだが、目先は長期的なテクニカルの強固な壁に直面しており、反落リスクへの警戒も怠れない。

金曜日時点でXLMは0.198〜0.224ドル(約31.5〜35.7円)の上限エリアで取引されているが、このゾーンは50週・100週・200週の指数移動平均線(EMA)が集中する極めて強固なレジスタンス帯である。アナリストのMAGIC氏も「初回のトライとしては(突破するには)抵抗が強すぎる」と指摘しており、利益確定売りに押されやすい局面と言える。

今後の値動きとしては、以下の2つのシナリオが想定される。

【弱気シナリオ:上値抵抗帯での反落】

このEMAの重なる抵抗帯を明確に上抜けることができなければ、6月から7月にかけて、現在形成している下降チャネルの下限である0.112〜0.136ドル(約17.8〜21.7円)付近まで下落する可能性がある。これは現状水準から30〜40%の調整に相当する。

過去の歴史を振り返っても、XLMは材料視された急騰の後に深い調整を挟む傾向が強い。

  • 2024年11月: トランプ氏の大統領選勝利後に約640%急騰するも、直近高値から約68.6%急落。
  • 2025年7月: PayPalのステーブルコイン展開や「Protocol 23」アップグレード期待で約140%上昇後、約73.8%の深い調整を余儀なくされた。

【強気シナリオ:抵抗帯のブレイクアウト】

一方で、もし0.198〜0.224ドルのレジスタンス帯を日足・週足実体で明確に突破(ブレイクアウト)した場合、市場のセンチメントは完全に強気へ傾く。その場合の6〜7月の次のターゲットは、現行価格から約40%高水準となる0.28〜0.30ドル(約44.6〜47.8円)への道が開けることになる。

総括

国際送金や資産のトークン化に特化したレイヤー1としての地位を築いてきたステラだが、今回のDTCCとの提携は、金融機関による「実需(リアルワールドユース)」への期待を改めて強烈に印象付けた。

ただし、足元の相場動向はショートスクイーズや過度なレバレッジの積み上がりが主導した側面も強く、ファンダメンタルズへの長期的な期待感と、短期的な投機需給が複雑に交錯する局面を迎えている。

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この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

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