ストラテジー(旧マイクロストラテジー)、BTC運用の「転換点」──1.25億ドルの売却枠を設定

マイクロストラテジー

世界最大の企業ビットコイン保有企業として知られるストラテジー(旧マイクロストラテジー、ティッカー:MSTR)が、その財務戦略において歴史的な転換点を迎えている。同社は2026年6月29日、新たな「デジタルクレジット資本フレームワーク」の導入を発表した。これまで掲げてきた「ビットコインの永久保有」という方針を維持しつつも、市場環境に応じた柔軟な資産管理へと舵を切った。

最大12.5億ドルのBTC売却枠を設定

今回発表されたフレームワークの柱は、保有するビットコインを条件付きで売却し、米ドル準備金(USD Reserve)を構築するプログラムだ。具体的には、最大12.5億ドル相当のビットコイン売却枠が設定された。

調達した資金は、同社が発行する優先株の配当支払いや債務の利払い、さらには自社株買い(上限10億ドル)に充てられる。マイケル・セイラー会長は「ビットコインを財務の主要資産とする方針に変わりはない」と強調する一方、同社の財務運用において流動性の確保と規律が不可欠であると説明した。

株価は12%急騰──市場は「財務の健全化」を好感

この発表を受け、29日の米国市場で同社株は一時12%超急騰し、約94ドルまで値を戻した。市場はこれを、従来の「ビットコイン依存型」の調達構造からの脱却を促す現実的な財務規律として好意的に受け止めた形だ。

同社は現在、84万7,363BTCという莫大なビットコインを保有しているが、平均取得単価は約7万5,651ドルに達しており、現在の相場(約6万ドル近辺)では含み損を抱える厳しい状況が続いている。これまで「買い増し」一本槍だった戦略が、相場低迷による調達コスト増という壁に突き当たり、売却によるキャッシュフロー改善へと現実的な選択を迫られた格好だ。

「レバレッジ」から「規律」の時代へ

今回の決定は、同社が発行する優先株(STRC)の配当利回りを年12%へ引き上げる方針とセットで公表された。市場関係者は、今回の動きを「自転車操業的なレバレッジ運用からの卒業」と見ている。

これまで、ストラテジーの株価はビットコイン価格の変動以上に激しく上下し、投資家の間では「ビットコインのレバレッジ型デリバティブ」のように扱われてきた。しかし、今回の枠組みにより、ビットコインの売却という「最後の手段」が法的に明確化されたことで、財務的な予見可能性は一定程度高まったといえる。

今後、同社が実際にビットコインを売却するのか、あるいは米ドル準備金の積み増しによって市場の動揺を抑え込めるのか。その動向は、ビットコインを企業財務の根幹に据えるという「セイラー・モデル」の持続可能性を占う試金石となる。

※本記事は2026年6月30日時点の情報を基に作成しています。株式および暗号資産投資には価格変動リスクが伴います。売買にあたっては最新の市場環境や開示資料を確認の上、ご自身の判断で行ってください。

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この記事を書いた人

岡本晟楽はEIICHI JOURNALの編集長、代表。仮想通貨の価格分析からPR記事まで幅広い作成経験を持つ。元コインテレグラフジャパンの編集者。野村総合研究所。兵庫県神戸市出身、台湾・カナダなどの環境で学生時代を過ごす。世界的なメディアでの経験から仮想通貨に限らず政治、経済などの記事についても執筆をする。

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