1戸の価格が1億円を超える高級マンション(億ション)の供給が急増している。東京カンテイの調査によると、2025年の全国における新築億ション供給戸数は8266戸に達した。これは1990年のバブル期の1.6倍に膨らんだ規模だ。
内訳をみると、供給の約7割にあたる5722戸が東京都23区に集中している。全国的に供給が分散していたバブル期とは対照的なデータだ。活況にみえる市場だが、背景には地価高騰や将来的な維持費増大という客観的な事実が存在する。
地価と建設費の上昇がもたらす高額化
2026年1月時点の公示地価をみると、23区の住宅地は前年比で9%上昇した。これに対して地方圏は0.9%のプラスにとどまり、上昇幅は縮小傾向にある。バブル期には地方圏も2ケタ上昇を記録していたが、現在は都心への一極集中が鮮明だ。
建設費の継続的な高騰も価格を押し上げる要因になっている。通常、地価や建築コストの上昇分は販売価格に転嫁される。数年前であれば8000万円程度で推移していた物件でも、コストの積み上げによって1億円を突破するケースが増加している。
また、限られた高額な用地を有効活用するため、20階以上のタワーマンション(タワマン)開発が重視されている。建物を高層化して縦に伸ばすことで、結果的に高額物件が市場に供給されやすい構造ができあがっている。
データで読み解く需要の偏りと中古市場
23区への一極集中を支えているのは、厚い購買層の存在だ。総務省の家計調査によると、2025年における23区の可処分所得は大阪市や福岡市よりも約3割高かった。高所得者が密集していることが、高額物件の需要を底上げしている。
海外からの投資資金の流入もデータに表れている。国土交通省の調査によると、2025年1〜6月期において、都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)の新築マンションを取得した人のうち、国外に住所を持つ人の割合は7.5%に達した。
中古市場に目を向けると、この寡占状態はさらに際立つ。不動産情報サイトに2025年に掲載された1億円以上の中古マンションは2万8400戸だった。そのうち約9割にあたる2万5161戸が23区の物件であり、地方との格差は新築時以上に広がっている。
2030年問題と修繕コスト増大の懸念
都心ではわずか35平方メートルで築10年の物件が3億円以上で流通し、新築時の3倍強となる事例も存在する。しかし高額物件の資産価値を維持するためには、多額のランニングコストが必要になる。
マンションは通常、12〜18年程度の間隔で大規模修繕を繰り返す。2030年以降は、2000年代に大量供給されたタワマンなどが工事費負担の重い2周期目の大規模修繕期を迎える。現在も工事費は上昇を続けており、さらなるコスト増加が見込まれる。
所有者が負担する毎月の修繕積立金などが大幅に引き上げられれば、中古市場での需要減退を招きかねない。維持費の高さからタワマンを売却し、戸建てへ住み替える動きも出ている。物件の資産性を客観的なデータに基づいて見極める重要性が高まっている。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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