イングランド銀行のサラ・ブリーデン副総裁は18日、ロンドンで開催された金融業界向けのカンファレンスで基調講演を行い、英国のトークン化市場を健全に発展させるためにはステーブルコインの制度改革と決済インフラの整備が不可欠だとの見解を示した。同副総裁は「デジタルマネーは信頼性と相互運用性を維持しなければならない。これは選択肢ではなく、機能するためのベースラインだ」と強調した。
同氏はデジタル資産市場の発展において特に重要なのは決済手段の信頼性だと指摘し、民間が発行するデジタル通貨が安全で有用であり続けるには、中央銀行の信用力に裏付けられた準備資産(リザーブ)が不可欠であるとした。さらに英国の決済インフラについて、現行のオフショアクリアリングやレガシーシステムへの依存からの脱却を促し、ほぼ24時間365日稼働する決済体制への移行を検討していることも示唆した。
英国では金融行動監視機構(FCA)が仮想通貨市場参加者向けの規制枠組みの整備を進めており、2024年にはステーブルコイン発行者への規制適用を盛り込んだ金融サービス・市場法の改正が行われた。また英国財務省はデジタル証券サンドボックスの拡大に取り組んでいる。しかし米国のSECが「イノベーション免除」を通じてトークン化証券の取引を急速に解禁しようとしている動きや、EUがMiCAによる包括的な制度整備を進めていることと比較して、英国の規制整備の歩みは遅いとの批判も業界内で出ていた。
ブリーデン副総裁の発言は、イングランド銀行がこうした批判を受け止め、より積極的にデジタル通貨・トークン化資産の制度設計に関与していく意向を示したものとして受け止められた。英国はブレグジット後の金融センターとしての競争力維持を至上命題としており、仮想通貨・デジタル資産分野での規制整備の遅れが金融ハブとしての地位を脅かすとの懸念が政策当局者の間でも高まっている。
市場は今後、イングランド銀行がデジタルポンド(中央銀行デジタル通貨、CBDC)の開発計画と民間ステーブルコインの規制をどう整合させるかに注目している。同行は現時点でCBDCの発行を確定的に決めた段階ではないとしているが、決済インフラ改革の議論はデジタルポンドの検討とも深く関連している。


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