築古のビンテージマンション人気が全国に波及、新築高騰で再評価

ヴィンテージマンション
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独自の設計と広さが需要を下支え

築年数を経ても資産価値が落ちないビンテージマンションが東京以外にも広がっている。最大の魅力は新築物件にはない建物の歴史やレトロな外観だ。新築マンションが手狭で割高になるなかで立地や広さを求める層が需要を下支えする。

大阪府箕面市にある1976年竣工のマンション「箕面リリーヴィレッジ」はロボットのような四角い建物が重なる独特のデザインが特徴だ。不動産仲介会社によると、築50年近い物件にもかかわらず20組以上の購入待ちがいる人気ぶりだという。

2024年に最上階の115平方メートルの住戸を購入した押川康平氏と妻の紀美子氏は「新築は候補になかった。この広さはまず見つからない」と語った。物件購入と配管などの刷新を含む改装費用の総額に約4000万円をかけた。紀美子氏は「建築デザイン、風通りや採光、街を見渡せる見晴らし。どれも満足している」と笑顔をみせた。

不動産経済研究所(東京・新宿)によると、2025年の全国の新築1戸当たり平均価格は2024年比7.8%増の6556万円と最高値を更新した。開発各社が見た目の価格を抑えようと専有面積を縮小した結果、買い手の視線は中古へと移っている。不動産仲介会社リビタ(東京・目黒)の斎藤渉氏は「新築価格の急騰で、相対的にビンテージの資産価値が再評価されている」と指摘する。

名古屋など地方の歴史ある街でも人気

ビンテージマンションはこれまで東京都心が中心だったが、最近は地方にも広がる。名古屋市で人気を集めるのが1971年竣工の「メゾン覚王山月宮殿」だ。覚王山は歴史的建造物が残る高級住宅街として知られる。全戸南向きに白いバルコニーが張り出す外観や視界を遮る建物が少ない眺望が支持されている。

約80平方メートルの部屋を購入した50代の会社員は「こだわりが強く、新築では住みたい暮らしが実現できないと感じた」とのべた。不動産仲介会社の黒木大地氏は物件価格がここ5年ほど安定しているとしたうえで「土地の希少性や駐車場の規模などそれ以上の価値が高い」と分析する。

住民が主導する維持管理が価値を守る

ビンテージマンションの価値を保つには適切な維持管理が欠かせない。東京都文京区にある1964年竣工の「川口アパートメント」は住民主体の自主管理体制をとっている。作家の川口松太郎氏が自宅を建て替えて造った物件で、多くの著名人も暮らした。

2022年から2024年に実施した大規模修繕では外壁のデザインが変わらないよう塗装はせず、補修と撥水剤だけで仕上げた。設備担当理事の本多香奈子氏は「いかに古き良きものを残すかという工事だった」と振り返る。一方で本多氏は「購入する人には維持管理の大変さを理解して協力してほしい」と求めている。

IT企業を経営する伊藤一記氏は「ほぼ指名買い」した140平方メートルの部屋を改装中だ。伊藤氏は「60年維持されてきた実績があるからこそ、今後も数10年先まで住み続けることをリアルに想像できた」と語る。

開発大手は将来のビンテージ化を見据える

不動産大手が将来のビンテージ化を見据えた物件開発に乗り出している。三菱地所が仙台市で2027年10月に竣工予定のマンションは最多価格帯が2億円台となる。敷地内にあった伊達政宗ゆかりの杉を保存し、購入検討の登録数は販売予定戸数の10倍を超える約400件にのぼった。

三井不動産と三菱地所が開発した東京都港区のマンションも約100年前に建設された旧逓信省庁舎跡地に建物の1部を保存した。三井不動産レジデンシャルの北浦秀晃氏は「文化と歴史のパワーを認識し、将来も長く続く物件を意識した」と説明する。

不動産情報サイト運営会社によると、築30年以上の中古マンションは5月時点で全国に8万2819棟あり、中古物件の53%を占めた。不動産仲介会社の谷村泰光氏は「購入前に修繕状況や今後の修繕計画など維持コストのリスクを十分に確認することが大事」と注意を促す。立地やデザインだけでなく、住民1人1人が維持管理に関わり続けることが次世代へ価値をつなぐカギとなる。

翻訳・編集 EIICHI JOURNAL

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この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

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