東京23区で定期借家マンションの家賃上昇が加速、貸し手強気の背景とは

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東京23区において、契約期間満了後に更新がない定期借家契約のマンション家賃が大きく上昇している。特にファミリー向けの大型物件では、定期借家の平均家賃の伸び率が通常の賃貸契約である普通借家を上回る事態となっている。貸し手が優位に家賃を設定しやすい市場環境が広がっていることが浮き彫りになった形だ。

不動産情報サービス企業の調査によると、2025年度の東京23区のファミリー向け大型物件における定期借家の平均募集家賃は24年度比7.0%高の46万4387円だった。専有面積70平方メートル超の物件を対象としたこの調査結果は、貸し手市場の強さを裏付けている。

一方の普通借家は34万5986円にとどまり、定期借家はこれに比べて34.2%も高い水準となった。家賃の伸び率をみても、普通借家の4.7%高を上回る結果となっている。通常は借り手に不利な条件があるぶん、定期借家のほうが家賃が低くなるのが不動産業界の通説だ。

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好条件の物件で導入が進む定期借家

なぜ定期借家の家賃が普通借家を上回る逆転現象が起きているのか。不動産業界の分析によれば、駅近や築浅など入居者が確保しやすい好条件の物件で定期借家の導入が進んでおり、これが平均を押し上げている要因だという。優良な物件ほど、貸し手は強気の契約形態を選べる状況だ。

定期借家は契約期間があらかじめ決まっており、更新という概念が存在しない。借り手は期間満了後に原則として退去する必要がある。引き続き住み続けたい場合は、貸し手と借り手の双方の合意による再契約が必要になるため、基本的には貸し手が優位な契約形態だ。

ファミリー向けの大型物件における契約期間は、普通借家では2年が大半を占める。これに対して定期借家では3年や5年といった比較的長めの期間が設定されるケースが多い。生活の基盤となるファミリー向け物件でも、定期借家の存在感は着実に増している。

物価高や管理コスト増が後押し

家賃の伸びだけでなく、定期借家の物件そのものも増加傾向にある。25年度の東京23区のファミリー向け大型物件のうち、定期借家の割合は24年度比4.4ポイント高の34.9%に達した。特に都心の高級物件でこの傾向が顕著にあらわれている。

地域別にみると、千代田区が前年度比20.5ポイント高の71.3%と急上昇した。港区も8.3ポイント高の57.3%となり、渋谷区は8.6ポイント高の43.5%と大きく伸びている。貸し手が定期借家を積極的に導入する背景には、契約の切れ目で家賃を引き上げやすいという明確なメリットがあるからだ。

昨今の物価高のなかで、物件の修繕費や人件費といった管理コストの負担は増加の一途をたどっている。定期借家であれば、こうしたコスト増加分を再契約時に家賃へ反映しやすい。さらに住宅相場の高騰によってマンション購入を当面断念した消費者が賃貸市場に流れ込んでおり、需給がひっ迫していることも大きい。

借り手も柔軟な住まい方を模索

借地借家法の保護がある普通借家では、入居中の賃料引き上げは決して容易ではない。そのため、貸し手としては一定期間での退去が見込める契約のほうが都合が良いという事情がある。法的な制約を回避する意味でも、貸し手は定期借家を選択しているのだ。

さらに、貸し手にとっては普通借家におけるリスクを回避する手段としての側面もある。家賃の滞納や騒音などトラブルの多い入居者であっても、普通借家では容易に退去してもらえない現実があるからだ。

一方で、借り手側も定期借家契約が増加している市場環境をある程度は受け入れている。優良な物件が見つかりにくい現状において、定期借家を許容する借り手も徐々に増えているのが実態だ。

借り手の間では、短期の住まいとして柔軟に活用しようという機運も高まっている。子どもの進学にあわせて通学期間だけ学校の近くで借りたり、将来的な住宅購入を検討するエリアで試験的に居住したりするケースが目立ってきたという。

今後も東京23区では定期借家が増加していくとの見方が大勢を占めている。この定期借家の増加によって、家賃相場はさらに押し上げられていく可能性が高いと見込まれている。

翻訳・編集 EIICHI JOURNAL

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この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

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