20代以下の負債が急増しているが、これをインフレ下における「賢い判断」と捉える見方もある。総務省の家計調査(2人以上世帯)によると、2025年に負債を持つ29歳以下世帯の平均額は3037万円となった。比較可能な2002年以来で過去最高となり、全年代のトップに立つのは初めてだ。表面的には負債の重大さが目立つが、住宅ローンの超長期返済などを戦略的に活用し、主体的に資産防衛を図る若年層の姿も浮かび上がる。
インフレを見据えた早期取得
29歳以下世帯が抱える負債のうち、約95%は住宅ローンが占めている。インフレによりマンションなどの住宅価格が上昇するなか、早期取得に動く若年層は増加傾向だ。都心の築40年の中古マンションをフルローンで購入した20代男性は「貯蓄が増えるのを待っていては住宅はもっと値上がりする」と語り、ローンが多額になることは仕方がないと割り切った。
数字だけを見れば、2025年の20代以下世帯の負債は年収の4.5倍、貯蓄の6.9倍に達している。しかしソニーフィナンシャルグループの宮嶋貴之氏は、取得した住宅の資産価値まで含めて考えれば、家計のバランスシートが崩れているとは言えないと指摘する。浜銀総合研究所の遠藤裕基氏も、一部の高額借り入れ世帯が全体平均を押し上げていると分析しており、すべての若年層が過剰な負債を抱えているわけではない。
毎月の返済を抑え柔軟に対応
最長50年といった超長期返済の広がりも、若い世代の戦略的な借り入れを後押ししている。住宅金融支援機構が2025年6月時点で調査したところ、57.5%の金融機関が変動型金利で最長50年の商品を用意していた。住宅ローン比較診断サービス(モゲチェック)を利用する20代のうち、約65%がおよそ3人に2人の割合で35年超のローンを希望しており、毎月の返済額を抑制する動きが顕著だ。
超長期返済は借入額を増やしやすい利点がある一方、返済当初は元本が減りにくい側面がある。しかし毎月の固定費を低く抑えることは、将来の家計管理において大きな柔軟性をもたらす。若い世代は人手不足を背景とした賃上げへの期待も大きく、適切な借入額と返済計画を練ることで、自分たちのペースで無理なく資産形成を進めている。
投資との併用で資産を防衛
人手不足や建設資材の供給混乱などを背景に、全体的な住宅価格の高止まりは当面続く見込みだ。インフレ下では住宅を早く取得した方が有利との見立ても多く、20代以下の持ち家率も過去最高水準で推移している。
一方でコンドミニアム・アセットマネジメントの渕ノ上弘和氏は、別の有効な選択肢も提示している。割安な賃貸に住み続けて支出を抑え、その分を金融資産への積み立て投資に回す手法だ。超長期ローンで毎月の返済額を低く抑え、浮いた資金を投資に回すこともこれに通じるインフレ対策となる。若年層は負債を単なるリスクと捉えず、資産価値や投資と巧みに組み合わせて賢く乗り切ろうとしている。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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