東京23区の新築戸建て価格が9000万円台で高止まり、マンション比の割安感が需要を牽引

戸建

東京23区で住宅価格の上昇が続く中、郊外への需要拡大もみられる。不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)が12日に発表した7月の東京23区における新築小規模戸建て住宅の平均希望売り出し価格は、前月比0.6%高の9321万円だった。9000万円台の高値水準は3カ月連続となる。高騰を続けるマンション相場と比較した際の割安感が、戸建ての需要を強く押し上げている。

調査対象は、敷地面積が50平方メートル以上から100平方メートル未満の新築木造1戸建てだ。土地代も含み、最寄り駅まで徒歩30分以内、あるいはバスで20分以内の物件に絞って価格を算出している。前年同月と比べた場合、価格は14.6%高にあたる1184万円の大幅な上昇を記録した。

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割安感から戸建てへ流れる実需

価格上昇の背景には、資材費や工事にともなう人件費の高騰がある。さらに新築および中古マンションの相場が大きく跳ね上がった影響も大きい。相対的に割安感の出た戸建て住宅へ、消費者の需要が流れているとの見方も増えてきた。

東京カンテイが算出した平均希望売り出し価格の推移指数をみると、価格差は明白だ。2015年1〜3月期を100とした場合、2026年4〜6月期の時点で新築戸建て(建物面積100平方メートル換算)の指数は173だった。対する新築マンション(70平方メートル換算)は207まで伸び、中古マンション(同)にいたっては263に達している。

マンションの急激な値上がりと比較すれば、戸建ての上昇ペースは相対的に緩やかだといえる。マンションは投資目的の需要を呼び込んで価格が高騰しやすい傾向を持つ。一方で実需が中心の戸建ては、マンションの価格上昇についていけない購入層からの有力な選択肢となりやすい。

費用対効果で高まる消費者の支持

実際の成約数も顕著に伸びている。東日本不動産流通機構(東京・中央)のデータによれば、東京23区内における新築戸建ての成約件数は2025年度に1809件を記録した。これは前年度から75.5%増という高い伸び率だ。

戸建て特有の利点に魅力を感じる消費者も増加傾向にある。大きな利点の1つは、マンションと同程度の予算でより広い居住空間を確保しやすい点だ。8月に中野区で新築戸建てを購入した20代の女性は「マンションは高いのに狭いため戸建てを選んだ」と語った。

ニッセイ基礎研究所の渡邊布味子准主任研究員は「駐車場代や修繕積立金などの費用を抑えられる点に魅力を感じる人も増えている」と補足する。また高額な戸建て物件の供給増加も、市場の平均価格を押し上げる1つの要因となっている。

「億戸建て」の定着と郊外への波及

東京カンテイの藤谷有希研究員は「建築費などが上昇する中でハウスメーカーは採算を確保するために好立地で高価格帯の物件を供給している」と分析する。とくに通勤利便性の高さや良好な教育環境を求めるファミリー世帯に選ばれやすい目黒区や世田谷区、文京区などで供給が増加しているという。

同社の調査によると、7月は東京23区のうち10区で新築戸建ての平均希望売り出し価格が1億円を超えた。1億円超えのマンションが定着した東京都心において、同様の高価格帯である戸建ても増加する流れが鮮明になっている。

藤谷氏は「戸建て価格が下がることは当面考えにくい」としており、東京23区の上昇基調は今後も続くとみられる。都心部の価格が高止まりすれば、需要は交通アクセスのよい郊外エリアへと波及していく。7月の平均価格は東京都下の23区外が前月比0.1%高の5476万円、横浜市が同5.1%高の5542万円、川崎市が同4.8%高の6096万円だった。また相模原市は3.7%高の4676万円、千葉市は1.8%高の4419万円と周辺地域も総じて上昇している。

翻訳・編集 EIICHI JOURNAL

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この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

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