GMOあおぞらネット銀行やアビームコンサルティングなどは、トークン化預金を活用した銀行間決済の実証実験を8月中に開始することがわかった。ブロックチェーン技術を用いて銀行預金をデジタル上のトークンとして扱う次世代の技術だ。異なる銀行の顧客同士で送金する際の決済を24時間365日体制で即時に完了させるインフラの構築を目指している。
今回の実証には、りそな銀行や商工組合中央金庫、横浜銀行など全国から約40行がオブザーバーを含めて参加する。システムを提供するDCPは2027年度中の実用化を目標に掲げた。同計画は4月に金融庁の支援事業にも選定されており、業界を挙げた次世代決済網の構築が本格化する。
既存システムの課題と新たな検証手法
現在の国内他行宛て振込は全銀システムを介して行われている。1億円未満の取引は原則として1日1回の決済で清算され、1億円以上の取引は日本銀行のネットワークでその都度決済される仕組みを採用している。新システムでは分散型台帳を活用し、これまでの時間的制約を解消して即時決済を実現する。
実証実験では主に2つの決済方式を検証する計画だ。1つは民間銀行の1行を幹事とし、顧客間の送金と幹事行内での銀行間決済を同時に処理する方式となっている。もう1つは銀行間の資金精算にステーブルコインを利用する連携方式だ。これにより企業間決済や給与振り込みの利便性が飛躍的に高まることが期待される。
すでにゆうちょ銀行や北陸銀行など一部の金融機関では、トークン化預金の商用化に向けた動きが進んでいる。今後利用シーンが拡大すれば、銀行の枠を超えてトークンを送受信できる共通の枠組みが不可欠だ。今回の実証はこうした将来の需要拡大を見据えた重要な一歩となる。
規制への適応力と銀行側の危機感
トークン化預金は、法定通貨を裏付けとするステーブルコインとは明確に性質が異なる。あくまで既存の銀行預金をブロックチェーン上で表現した資産だ。そのため資金洗浄対策など、従来の銀行預金に適用されている厳格な金融規制をそのまま応用しやすいという大きな利点がある。
また銀行側には、次世代の金融インフラ構築を自ら主導することで、自行からの預金流出を食い止めたいという強い思惑も透けて見える。世界のステーブルコイン市場は約3000億ドル(約47兆7000億円)規模にまで急拡大した。その取引の大半を米ドル建てが占めており、既存の銀行口座を介さない決済が世界的に広がりつつあるからだ。
米国が先行するオンチェーン金融
預金や証券などをブロックチェーン上で直接取引するオンチェーン金融の分野では、米国が世界をリードしている。こうした流れを受け、三菱商事は今年3月に米金融大手JPモルガン・チェースの決済基盤キネクシスを採用した。シンガポールやニューヨークなどの拠点間で、米ドル資金を24時間リアルタイムで移動させる体制を整えている。
日本国内でも企業や個人の決済ニーズは多様化し、より迅速で柔軟な金融システムが求められている。今回のトークン化預金の実証実験が成功すれば、日本の金融インフラの競争力を大きく底上げする可能性がある。法整備や技術的課題の克服に向けた各行の取り組みに、今後も高い関心が集まる見通しだ。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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