世界の金融政策が再び引き締め方向へと動き始めている。イングランド銀行は17日、政策金利を3.75パーセントに据え置くことを決定した。金融政策委員会において6対3の賛成多数で据え置きが決まったが、反対した3人の委員は4.00パーセントへの利上げを強く主張している。今回金利そのものは動かなかった。しかし発表された声明や委員の投票内容を分析すると、英国の金融政策は明確に利上げ方向へと傾き始めていることがわかる。
エネルギー価格の上昇が物価見通しを大幅に引き上げ
最大の問題となっているのは、再び強まりつつあるインフレ圧力だ。英国の8月のインフレ率は3.1パーセントだった。イングランド銀行は、2027年初めには物価上昇率が4パーセントをやや上回る可能性があるとの厳しい見通しを示している。英国の物価目標は2パーセントだ。予想通り4パーセントを超えれば、目標の2倍以上という異常事態となる。7月時点ではインフレ率のピークを2026年後半の3.2パーセント程度と見込んでいた。わずか数カ月で物価見通しを大きく引き上げたことになる。
インフレ警戒が急激に強まった背景には、エネルギー価格の世界的上昇がある。中東情勢の緊張を背景に、原油や天然ガスなどの価格が高騰している。エネルギー価格の上昇は、家庭の電気代やガソリン代の負担増だけにとどまらない。物流費や工場の製造コストなど幅広い企業経費を押し上げる。企業が増加したコストを商品の販売価格に転嫁すれば、食品や日用品などへ物価上昇が広がる。こうした物価上昇が一時的なのか長期化するのかを見極めることが中央銀行の課題となる。
英国経済の底堅さがインフレ抑制優先を後押し
今回の金融政策委員会では、チーフエコノミストのヒュー・ピル氏ら3人が4.00パーセントへの利上げを主張した。さらに据え置きを支持した委員の中からも、今後の利上げを視野に入れるタカ派的な姿勢が示された。アンドリュー・ベイリー総裁らは、エネルギー価格上昇が賃金や企業の価格設定へ波及する二次的な影響を強く警戒している。
インフレが高止まりする一方で、英国経済が予想以上に強い点も注目される。イングランド銀行は2026年7〜9月期の成長率見通しを0.1パーセントから0.4パーセントへ引き上げた。景気が大きく落ち込んでいれば、中央銀行は利上げをためらいやすい。しかし経済が一定の成長を維持していれば、景気配慮よりもインフレ抑制を優先しやすくなる。景気の強さが逆に将来的な金利上昇につながる可能性を示唆している。
国債売却の停止と日米金融市場への広範な波及
今回の会合では、イングランド銀行が保有する英国国債の積極的な売却を6カ月間停止するという重要な決定も下された。金融緩和期に大量購入した国債を市場で売却する量的引き締めについて、長期的な手法を見直す。金融政策目的で保有する国債を2034年までにゼロにする方針もあわせて示した。発表後には市場で国債の売却圧力が一時的に弱まることが好感され、英国の長期国債利回りは低下している。
世界的な金融引き締めの動きは英国だけではない。米連邦準備理事会も16日に政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.75〜4.00パーセントとした。米国や英国の金利が上昇すれば、日本の金融機関も海外金利の影響を受け、国内の長期金利や住宅ローン金利に波及する可能性がある。円安が進めば輸入物価が上昇し、日本銀行も金融引き締めを迫られかねない。世界的な金利上昇は住宅市場や企業投資など広範囲に影響を及ぼす見通しだ。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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