目次
- 基準金利を3.280%から3.530%へ
- 基準金利と実際の適用金利は違う
- 0.25ポイントでも高額ローンには影響
- 「借りられる額」より返せる額へ
住宅ローン金利の上昇が、より具体的に家計へ近づいてきた。 PayPay銀行は10月1日から、住宅ローンの基準金利を年3.280%から3.530%へ引き上げた。上昇幅は0.25ポイントである。 日本銀行による政策金利引き上げと、市場金利の変動を受けた措置としている。 住宅価格が高止まりするなか、購入者には「物件価格」だけでなく「金利」を含めた判断が一段と重要になる。
0.25ポイント引き上げ
変更前の住宅ローン基準金利は年3.280%だった。 10月1日以降は年3.530%となる。 0.25ポイントという数字だけを見ると、小さく感じるかもしれない。 しかし住宅ローンは借入額が大きく、返済期間も30年や40年に及ぶ。 わずかな金利差でも、返済総額には大きな差が生まれる。 特に首都圏では5000万円、6000万円を超える住宅ローンも珍しくない。 借入額が大きいほど、金利変化の影響も大きくなる。 さらに住宅価格そのものも上昇している。 「高い住宅価格」と「高い借入コスト」が同時に家計へ作用することになる。
基準金利3.530%をそのまま払うわけではない
注意したいのは、3.530%が全利用者にそのまま適用されるわけではないことだ。 PayPay銀行は、基準金利から契約時の金利引下幅を差し引き、利用者ごとの適用金利を決める。 そのため実際の住宅ローン金利は商品や契約条件によって異なる。 住宅ローンを比較するときは「基準金利」と「適用金利」を混同してはいけない。 さらに重要なのが、金利が決まる時点である。 同行は、申し込み時ではなく実際に借り入れる日の金利を適用すると説明している。 新築マンションでは契約から引き渡しまで1年以上空くことがある。 契約時に見た金利で資金計画を作っても、引き渡し時には金利が変わっている可能性がある。 これは販売現場でも重要な問題になる。
月額返済だけで判断しない
住宅販売では、月々の返済額を家賃と比較する方法がよく使われる。 しかし金利上昇局面では、その計算に余裕を持たせる必要がある。 例えば借入額6000万円なら、0.25ポイントの金利差でも長期間では負担差が積み上がる。 7000万円、8000万円と借入額が増えれば影響はさらに大きい。 変動金利を選択する場合は、借り入れ後の金利上昇も考える必要がある。 現在払えるかだけではなく、金利がさらに上昇しても払えるかを見る。 ボーナス返済を多く設定すれば、毎月返済額を低く見せることはできる。 しかし勤務先の業績や転職、育児などでボーナスが減れば負担になる。 住宅ローンは「審査に通った額」と「安全に返せる額」が同じとは限らない。
住宅価格にも影響する可能性
金利上昇は住宅購入者だけの問題ではない。 購入可能額が減れば、住宅価格にも影響する可能性がある。 例えば月々20万円まで返済できる世帯でも、金利が上がれば同じ20万円で借りられる元本は減る。 その世帯が6000万円の物件を買えなくなれば、5000万円台へ予算を落とす可能性がある。 こうした動きが市場全体に広がれば、販売会社も価格設定を見直す必要が出てくる。 ただし住宅価格がすぐ下落するとは限らない。 建築費、人件費、土地価格が高ければ、デベロッパー側にも値下げできる余地が少ないためだ。 その場合、住戸面積の縮小や販売期間の長期化という形で調整されることもある。 10月1日の基準金利引き上げは、住宅ローン市場の小さな変更に見える。 しかし日本の住宅市場が「価格上昇だけを見る時代」から「価格と金利を同時に見る時代」へ移ったことを象徴している。 購入者に必要なのは最安金利だけを探すことではない。 金利が変わっても生活を維持できる資金計画を作ることが、以前より重要になっている。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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