米中がAI・関税・重要鉱物で協議、首脳会談へ向け関係安定を模索

アメリカ

米国と中国の両国が、世界経済の安定を左右するハイレベルな経済協議に入った。ベッセント米財務長官と中国の何立峰副首相は9月20日、ニューヨークで会談を開始した。主要な焦点は人工知能(AI)のガバナンス、関税の取り扱い、レアアースをはじめとする重要鉱物の供給網だ。今週中に予定されている米中首脳会談を見据え、双方が合意可能な落としどころを模索する。

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11月に迫る貿易休戦の期限、再度の対立激化を回避へ

今回の協議にはグリア米通商代表も同席した。米中双方が結んでいる貿易休戦措置は11月10日に期限を迎える予定となっており、双方は再び関税の応酬といった深刻な対立に逆戻りする事態を避けたい意向だ。米中は2025年11月に韓国・釜山で貿易休戦に合意している。それ以前は制裁関税の掛け合いにより、一時的に双方の関税率が3桁に達するほど関係が悪化していた。

現在は以前に比べて過度な緊張が緩和されているものの、構造的な対立要因が解消されたわけではない。米国側は中国政府による産業補助金や過剰生産能力の輸出を強く問題視している。対する中国側も、米国が主導する先端半導体の輸出規制や対中投資制限への反発と警戒を崩していない。

ハイテク産業の命脈握るレアアース、供給の安定性が焦点

今回の会談でとりわけ重みを増しているのが、レアアースなどの重要鉱物の流通だ。中国は2025年の合意において、米国および国際市場への重要鉱物の供給を正常化させると表明していた。しかし米政府高官は、足元での供給状況は依然として不十分だとの不満を示している。

レアアースは電気自動車(EV)や先端半導体、通信インフラ、防衛装備品など極めて広範な戦略製品に用いられる。AI向け半導体やデータセンターへの投資が世界規模で急伸するなか、鉱物資源の確保は国家の経済安全保障に直結する。供給網が滞留すれば、米国企業だけでなく日本の自動車や電子部品、半導体製造装置産業にも直接的な打撃が広がりかねない。

AIの安全保障ルールを巡る対話、小規模な成果積み上げへ

協議では急速に進化するAI技術への対応も正式な議題として設定された。米中両国は世界の先端AI開発を二分する存在だ。米国側は高度なAIモデルが悪意ある組織や軍事目的に悪用される事態を阻止するため、国際的な安全基準を設ける必要性を訴えている。ベッセント氏は、オープンソース型とプロプライエタリ(非公開)型の双方のAIモデルを対象に議論を進める姿勢を示した。

専門家の間では、今回の協議で劇的な大型合意が実現する可能性は極めて低いとの見方が大勢を占める。首脳会談の開催を目前に控え、非戦略物資の関税引き下げなど小規模な合意を積み上げて関係の安定を印象づける展開が現実的とみられる。世界1位と2位の超大国による貿易環境の行方は、企業の設備投資意欲やサプライチェーンの再構築に重大な影響を及ぼし続ける。

翻訳・編集 EIICHI JOURNAL

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この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

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