実需層向け物件の供給が半減
首都圏から一般市民の手が届く価格帯の新築マンションが完全に消滅しつつある。新型コロナウイルス禍前まで、実需層が購入できる上限額は7000万円前後とされていた。しかし現在、4000万円台から7000万円台で発売される物件数は、ピーク時から半分以下にまで落ち込んだ。限られた新築物件をめぐる争奪戦の舞台は、都心から遠く離れた郊外へと移り始めている。
2020年末時点では、4000万円台から7000万円台の価格帯が新築マンション供給全体の56%を占めていた。これが2026年4月には44%に低下している。年間発売戸数で見ても、直近ピーク時の2万戸超から1万戸を割り込む水準まで減少した。一方で、2億円以上の高価格帯物件は同期間に3倍近くまで急増している。
深刻化する用地不足と供給減
東京23区に限定すると、年間の発売戸数は2025年時点で約8000戸だ。これは2019年の約1万3000戸から4割減であり、2010年代前半の2万戸超と比較すれば半分以下の水準に落ち込んでいる。マンション開発に必要な土地が不足しており、供給減少の傾向は今後も続く見通しが強い。
首都圏においてマンション用地として購入された土地の件数も激減している。2023年には約120件あった取引が、2025年には50件未満にまで落ち込んだ。仕入れた土地で採算が取れなければ開発業者は建設に踏み切れないため、数年後に市場へ供給される物件数はさらに減少する見込みだ。
高騰を続ける用地費と中古市場
新築マンションの価格は、開発業者が仕入れる土地代に大きく左右される。この土地代は中古マンション市場の相場と連動しており、中古価格が下落しない限り用地費も下がらない構造だ。実際の取引データを見ると、価格下落の兆しは全く見られず、高止まりの状況が続いている。
2025年における首都圏中古マンションの成約価格は5200万円となり、13年連続での上昇を記録した。新規の売り出し価格にいたっては前年比25.7%上昇の5557万円に達している。不動産の所有者が強気の値付けを維持している状況が浮き彫りとなっている。
長期販売を前提とする開発業者の戦略
市場全体での売れ行きが鈍化する一方で、人気物件とそうでない物件の二極化が進んでいる。千葉県の駅直結タワーマンションでは最上層が7億円台で販売され、神奈川県のタワーマンションでは見学予約が取れないほど人気が集中した。超人気物件と、販売が長期化する物件の差が鮮明になっている。
かつて業界では、新築物件は完成から1年以内に売り切ることが慣行とされていた。しかし現在では、急いで売って値引きするよりも時間をかけて高く売る手法が定着しつつある。実際に、建物が完成していても市場に売り出されないまま保留される在庫が増加傾向にある。
首都圏の新築マンションの初月契約率は、2021年の73.3%から年々低下し、2025年には63.9%となった。発売月に約3分の1が売れ残る状況でも、開発業者は市場を見ながら販売時期を慎重に計っている。利益を最優先するビジネスモデルが定着し、一般世帯が都心で新築物件を購入することは極めて困難な状況に陥っている。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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