億ション時代に定借マンション躍進、割安感とリスクの狭間で

定期借地 概念
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都心好立地で相場の半値、若年層に的

不動産価格の高騰で新築マンションへの手が届きにくくなるなか「定期借地権付きマンション」が存在感を増している。定借マンションは建物部分のみを所有し、土地は地主から借りる仕組みだ。将来的に土地を返還する義務があるため周辺相場に比べて手ごろな価格で販売される。はじめて不動産を購入する一次取得者層からの熱視線を集めている。

東京都港区の「パークホームズ南麻布ザレジデンス」は、公園やタワーマンション並みの充実した共用部を備えながら築浅2LDKが1億円で売り出された。東京カンテイの調査では、近隣のファミリータイプ物件は2億円を超える水準で取引されている。相場の半値程度で手が届く割安感が、都心に通勤する実需層や子育て世代の関心を惹きつける要因だ。

資産価値下落とローン難という時限爆弾

価格が安い背景には将来的に所有権が消失し無価値になるという避けられないリスクがある。東京カンテイの分析によると、1990年代竣工の定借マンションの約8割が周辺の所有権物件を下回る評価となった。実際に1994年に3000万円前後で分譲された横浜市の物件は、2020年代に入り1000万円を切る価格まで下落している。

金融機関からの融資の壁も厚い。多くの場合で融資期限は借地権の残存期間が上限となるため、買い手が希望額のローンを組めないケースが少なくない。さらに近年のインフレの影響で解体準備積立金が不足し、月々の維持費が上昇する懸念も広がっている。不動産業界内で「ババ抜き」や「時限爆弾」と評されるゆえんだ。

供給戸数は過去最多、地主側の思惑が後押し

リスクを抱えながらも定借マンションの供給は急拡大をみせている。不動産経済研究所のデータによると、2025年の首都圏における定借マンションの供給戸数は1502戸と過去最多を記録した。新築分譲マンション全体の供給戸数が2万1962戸と半減するなか、定借マンションの比率は2008年の2.9%から6.8%にまで増加している。

供給増の背景には地主側の事情も絡む。好立地の土地を売却せずに貸し出し、安定した地代収益を長期にわたって得たい企業や学校法人が増えているためだ。用地取得が難航する不動産デベロッパーにとっても好立地で販売しやすい物件を企画できる利点がある。新宿中村屋の土地を活用した「パークタワー渋谷笹塚」などがその好例だ。

70年への長期化と住み替え前提の合理性

近年は借地期間が従来の50年から70年へと長期化する物件が増加傾向にある。期限が70年であれば老後に住まいを失うリスクを意識しにくく、購入者の心理的な安心感につながる。一次取得者に対し、最初のオーナーとして10年間住んでから売却するという選択肢も十分に考えられる。

マイホームを一生に一度の買い物と考えず、ライフスタイルの変化に合わせて買い替える世代にとって初期費用を抑えられる定借物件は合理的な選択だ。物件価格の高騰によって中古市場での流通件数が急増する状況にある。マイホームの定義を変えつつある定借マンションは当面その存在感を保ちそうだ。

翻訳・編集 EIICHI JOURNAL

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この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

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