ハザードマップの想定を超える水害リスク、家選びは周囲の地形確認が鍵に

水没

不動産コンサルタントの田中歩氏が、マイホーム選びにおいて留意すべき水害リスクのポイントを解説する。特に注意喚起しているのが、下水道の処理能力を超えた際に発生する「内水氾濫」の危険性だ。2026年8月に発生した千葉豪雨では短時間に猛烈な雨が降り、各地で道路や住宅の浸水被害が相次いだ。田中氏が住む千葉県松戸市でも、命の危険を感じるほどの激しい豪雨に見舞われ、水が集まったことが被害拡大の一因とみられる。

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ハザードマップと実際の浸水被害の差

豪雨の翌日、田中氏が周囲より低い場所を通りかかると、コンテナ型のレンタル倉庫が歩道に乗り上げていた。冠水時にコンテナが水に浮き、そのまま移動してしまった可能性が高い。また千葉市のマンションに住む友人の話では、周辺で水位が股下まで上がり、地下の変電設備が停止した。周辺に駐車していた多くの乗用車も、浸水によりエンジンがかからない状態に陥っていたそうだ。

これらの場所がハザードマップでどのように想定されていたかが重要な焦点となる。自治体の内水ハザードマップを確認したところ、レンタル倉庫の場所は浸水想定区域に入っておらず、近くに水深30センチメートル未満の想定区域が存在する程度だった。友人の住まい周辺についても、想定は水深1センチメートル以上50センチメートル未満にとどまっている。実際の深刻な状況とは大きな乖離があり、想定を超える雨量だったことがうかがえる。

地形分類から読み解く水害リスク

事態の背景を探るため、先の2カ所について国土地理院のウェブサイトで自然地形(地形分類)を確認した。すると、いずれも「後背低地」や「湿地」と呼ばれる場所に位置しており、近くには小さな河川も流れていた。後背低地とは河川の氾濫によって形成された低地の中でも周囲より一段低く、水がたまりやすい地形を指す。今回の深刻な浸水被害がすべて内水氾濫によるものだったのかは断定できない。

短時間に大量の雨が降れば、周辺を流れる中小河川の水位も急激に上昇する。河川の氾濫と、水位上昇によって雨水を排出しにくくなった内水氾濫が複合的に発生した可能性も考えられる。一方で、低地であればどこでも同じように危険が潜んでいるというわけではない。例えば砂州などは低地の中では周囲よりわずかに高い「低地の微高地」に当たり、一般的には水が集まりにくい地形だ。

地図と実際の地形を重ね合わせる視点

逆に高台だから安心とも限らず、台地の中にも「凹地・浅い谷」と呼ばれる周囲より低い場所が存在する。こうした場所では大雨の際に周囲から雨水が流れ込み、一時的に道路冠水や住宅浸水を引き起こす可能性がある。水害リスクを考える際に大切なのは、単に低地か高台かという標高の絶対的な高さだけではない。周囲の土地と比べて高いか低いか、水がどこから流れてどこへ抜けていくのかという相対的な視点が重要だ。

地形分類を見ながら、実際にその町を自分の足で歩いてみることも有効な対策となる。地図で後背低地などを確認しながら歩けば、わずかな傾斜や暗渠との位置関係など、普段は気づかない土地の特徴が見えてくる。ハザードマップは水害リスクを知るための出発点だが、それだけで安全か危険かを判断するのは早計だ。マップと土地の成り立ち、実際の地形を重ね合わせて判断する準備が求められている。

翻訳・編集 EIICHI JOURNAL

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この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

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