三菱地所レジデンス新社長が戦略発表、都心マンション年間2000戸供給へ

三菱地所 供給

4月1日に三菱地所レジデンス株式会社の代表取締役社長執行役員に就任した明嵐二朗氏が、不動産市場の現状と今後の戦略について取材に応じた。不動産業界は現在、全体として好調な業績を維持している。しかし明嵐氏は将来について厳しさの予兆が見え隠れしていると警鐘を鳴らす。マンション開発に適した土地は非常に限定的だ。たとえ条件の良い土地を見つけたとしても、他社との獲得競争が激化している状況だという。

建築費高騰と金利上昇の波

建設業界が抱える構造的な課題もマンション供給に重くのしかかる。慢性的な人手不足や、世界的な資材価格の高騰により、建築費が著しく上昇している。現在では1戸あたりの建築費が4000万から5000万円という極めて高い水準に達している。さらに金融政策の転換に伴う金利上昇の動きも大きな懸念材料だ。住宅ローン金利が上昇すれば、購入者の予算計画に直接的な悪影響を及ぼすことになる。だが明嵐氏はこうしたネガティブな要因はいつの時代にも存在すると前を向く。様々なリスクを冷静に考慮した上で強固な事業構築を図っていくとのべた。

都心部へ経営資源を集中

マンション購入層の属性にも明確な変化が現れている。金融資産を豊富に保有し、資産のポートフォリオのなかでマンション取得を検討するパワーファミリー層が拡大中だ。さらに夫婦で対等にペアローンを組むパワーカップルも増加している。彼らの購入予算は過去に比べて明確に増加傾向にあり、現在の市場を力強く牽引する存在だ。同社はこうした購買力の高い層を主要なターゲットに据える。東京都心部を中心とする分譲マンション開発に経営資源を集中する方針だ。向こう5年間は年間1500から2000戸の安定供給を維持していく計画を明らかにした。

一方で都心以外の近郊や郊外エリアについては厳しい見方を示す。建築費の高止まりにより、従来型のビジネスモデルでは利益を確保する機会が減少しているからだ。ただし国や自治体の補助金を獲得できる再開発案件には積極的に参画する。建物の用途を変更するコンバージョンなど、既存の建物を活用する手法も駆使する構えだ。こうした工夫によりファミリー層向けマンションの供給も継続していく。

ブランド価値の再定義

商品力の向上に向けた新たな取り組みも始動している。これまでは高い品質こそが他社に対する優位性の源泉だと位置づけてきた。しかしこれからの10年から20年を見据えた時、ブランドの価値を決定づけるものは何かを再定義する必要がある。

その取り組みの具体策として、4月にブランドデザイン室を新設した。全社を横断する活発な議論を通じて、新しい価値観を具体的な商品企画へと落とし込んでいく狙いがある。明嵐氏は「同社にしか生み出せない、独自性に溢れたベリーユニークなマンションを作っていきたい」と意気込みを語った。モノづくりへの強いこだわりと、住む人への細やかな気遣いがふんだんに詰まった住まいを目指す。

非分譲領域を50パーセントへ

住宅を総合的に扱うディベロッパーとしての進化も重要なテーマだ。分譲マンション事業に依存しない収益構造の構築を目指す。賃貸マンション事業や学生向けマンション事業、さらに高齢者向けの住宅事業などを積極的に拡大していく方針を示した。既存のマンションを改修して再販するリノベーションマンション事業や、多様なライフスタイルに対応するフレキシブルリビング事業にも注力する。これらの新規領域による売り上げを全体の50パーセントまで引き上げたいと今後の抱負を明かした。

賃貸マンション事業においては、住む人の生活を楽しくする空間づくりを追求する。賃貸だから我慢するというネガティブな固定観念を払拭する狙いだ。作り手の情熱が伝わる、良い意味でのオリジナリティや遊び心を持った物件を提供する。そこで得られた優れた企画は分譲マンションにも反映していく方針だ。リノベーションマンション事業では不動産の専門家による厳しい目利きが光る。確かな技術で内装を改修し、充実した保証を付与して販売する。消費者が安心して購入できる仕組みを構築している。既存のマンションストックが増加する現代において、この事業の社会的意義は極めて大きいと強調した。

翻訳・編集 EIICHI JOURNAL

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

コメント

コメントする

目次