東急はベトナムのホーチミン市郊外に位置するビンズン新都市において、電気自動車(EV)を活用したデマンドタクシー事業を開始した。新サービスの名称は「カゼモビ」だ。現地の対話アプリ「ザロ」を利用して車両を呼び出す仕組みとなっている。利用者は指定された50地点の乗降スポット間を自由に移動できる。
月額定額制で路線バスも乗り放題に
料金体系は月額100万ドン(約6100円)の定額サブスクリプション方式を採用した。この料金にはタクシーの利用だけでなく、現地での路線バス利用料も含まれている。ベトナムの国営デベロッパーであるベカメックスとの合弁会社、ベカメックス東急のグループ会社が運行する路線バスが対象だ。定額料金を支払うことで、デマンドタクシーに加えて対象の路線バスも乗り放題となる。
2012年から続く都市開発と交通網の整備
東急はビンズン新都市において、長年にわたり総合的な不動産開発を推進してきた実績を持つ。2012年からは住宅と商業施設を一体化させた大規模な都市開発に本格着手した。さらに2014年には日本の路線バスシステムを活用し、現地で路線バスや無料循環バスの運営を開始した。今回のEVタクシー導入は、長年の街づくり戦略を深化させる取り組みの一環だ。
ベトナムでの「田園都市」拡大と各社の動向
東急はベトナムにおける「田園都市」構想の拡大を急ピッチで進めている。2040年までに現地での住宅供給数を現在の6倍に引き上げる計画を打ち出した。日本の不動産各社も同国市場に注目しており、三菱地所や野村不動産も現地でマンション開発に乗り出している状況だ。
国内に目を向けると、東急グループは次世代モビリティや環境対応事業も加速させている。東急バスは東京の世田谷区で、乗客がスマートフォンなどで予約と決済を行う自動運転バスの実証実験を実施中だ。さらに東急不動産はサンケイビルとともに、物流施設における再生可能エネルギー発電と環境価値の取引を推進している。
不動産・インフラ業界の環境対応と資本見直し
国内の建設や不動産関連企業は、次世代インフラへの投資や環境負荷の低減に向けた動きを活発化させている。住友林業はミツカンや京都大学発の新興企業と連携し、バイオマス発電のコストを半減させる新技術の実証を進めている。廃棄物を燃やさずに溶かすことで効率を高める試みだ。物流施設においては、日本GLPが東京の昭島市で総額1兆3000億円規模のプロジェクトを推進している。
一方、業界内では物言う株主が鉄道や不動産株を狙うなど、資本効率を見直す動きも表面化してきた。投資家の野村絢氏が近鉄グループホールディングスの株式を3%保有したことが判明した。野村氏は、優良な不動産が生かされず株価が割安な水準にあるとみている。事業環境が変化するなか、各社は持続可能な都市開発と資本効率の向上が求められている。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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