住宅価格の高騰と生活危機 中間層の購入は困難に

都心 マンション画像

住宅コストが高騰するなかで価格の手ごろさを意味するアフォーダビリティーが世界で注目されている。日本では平均的な所得層の家族が都市部で家を買うことが難しくなっている。日本経済新聞社の2025年末の調査でも高すぎて買えないという読者の声が多く寄せられた。

内閣府が2026年3月に発表したリポートは住宅価格も家賃も大都市を中心に上昇していると分析している。総務省の家計調査をもとに算出した住宅取得能力指数を用いると現状がよくわかる。指数が1より小さければ購入困難を意味する。

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関東のマンション購入は上位20パーセント層に

世帯年収800万円程度の平均所得層では2022年1月から2025年11月まで関東の建売住宅はずっと1を超えていた。一方でマンションは全期間とも1を下回っている。つまり関東では平均所得層が建売住宅を買えてもマンションを買うのは難しい状況だ。

所得を5階層に分けて分析すると事態の深刻さが浮き彫りになる。2022年1月時点では全国で上位40パーセント層までが指数1を超えていた。しかし2025年11月時点では1を超えたのが上位20パーセント層のみになっている。

内閣府の担当者は「賃金の上昇を超えるペースで住宅価格が上昇した」とのべている。住宅の購入が難しい世帯が増えており金利上昇の影響など今後を注視したいという。

世界的な実質価格の上昇と米国の政策対応

日本だけでなく世界的にも住宅は高騰を続けている。経済協力開発機構(OECD)のデータでは2025年に住宅の実質価格が平均で2015年と比べて3割以上高くなった。

香川大学の岡田徹太郎氏は「米住宅都市開発省は住居費が総所得の30パーセント以下をアフォーダブル住宅と定義している」と解説する。岡田氏は住宅政策の観点からこの基準の重要性を指摘している。

米国では2026年1月にニューヨーク市長に就任したゾーラン・マムダニ氏が住宅の確保を訴えている。マムダニ氏は5月に手ごろな価格で手に入る住宅を40万戸確保する政策を発表した。世界各国で住宅危機への対応が急務となっているのだ。

共働き世帯の増加と立ちはだかる家賃の壁

日本の賃貸市場でも手ごろな価格帯で住むことは厳しさを増している。住宅情報サイトを運営するLIFULL(ライフル)によると東京23区の家族向け物件の5月の平均賃料は約25万円だった。これを米国の定義である所得の30パーセント以内に抑えるには年収約1200万円から1300万円が必要になる。

かつてのバブル期は専業主婦家庭が多く都心から離れた郊外に家を購入する生活スタイルが一般的だった。しかし近年は正社員の共働きが増え男女ともに育児を担うスタイルが定着している。職場から離れた郊外で価格を抑えた家を買うという選択はしにくくなっている。

共働きで収入が増えても都心ではそれを上回るペースで住宅価格が上昇しているのが現実だ。若い世代からは家が高すぎて子どもを増やせないという声もあがっている。日本でも中間層の生活問題が顕在化しているといえる。

30年続いたデフレから脱却した現在もインフレという新たな課題に直面している。日本の住宅市場が抱える構造的な問題に対し実効性のある対策が求められている。

翻訳・編集 EIICHI JOURNAL

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この記事を書いた人

斎藤亮二は、EIICHI JOURNALで経済分野・不動産の記事執筆を担当するライター。不動産関連資格を有し、不動産売買、投資、市場動向に関する豊富な知識を持つ。横浜市出身。不動産ジャンルを得意としながら、株式や仮想通貨にも精通しており、幅広い市場ニュースを分かりやすく発信している。

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