首都圏において現役世代の住宅購入が新築マンションから戸建てへシフトする動きが強まっている。建設コストの上昇による価格高騰が続くほか、中東情勢を受けた資材流通の混乱で引き渡しが遅れる可能性が出てきたためだ。
新築が敬遠された結果、東京都内では中古でも価格が1億円を超える物件が増え始めている。今後は価格上昇が比較的緩やかな戸建ての購入がより一層活発化する可能性がある。
億ション化で現役世代が敬遠
東京都多摩地域に住む40代の女性医師は価格の高騰からマンション購入を諦めた。共働きの夫と共同で現在の住まいに近い武蔵野市内の新築戸建てを3月に購入した。子供の成長に伴う住み替えにあたり、当初は維持や管理の手間がかからないマンションを検討していた。
しかし希望する広さの物件は新築・中古を問わず予算内では見つからなかったという。女性は「戸建てと同じ金額で新築マンションを買おうと思ったら、50%以下の広さになってしまう印象だった」と語った。購入した戸建ては駅から徒歩7分の好立地で資産価値も低下しづらいと判断したとしている。
新築価格は過去最高を更新
首都圏のマンション価格は建設業界の人手不足や資材高を背景に上昇傾向が続いている。4月に不動産経済研究所が発表した2025年度の首都圏の新築マンション1戸当たりの平均価格は前年度比15.3%高い9383万円を記録した。5年連続で過去最高を更新する水準となり、購入のハードルは極めて高くなっている。
用地不足などを要因として発売戸数も4年連続で減少している。中東情勢の混乱によるナフサショックで新築物件は引き渡しの遅れも懸念される状況だ。現役世代がマンションを購入しづらい環境が長期化しており、相対的に割安感のある戸建てへの関心が高まっている。
資産価値の下落と残債割れのリスク
戸建てを選ぶ若い夫婦が増加する一方で、リセールバリューには大きな違いがある。マンションは建物部分の価値の目減りが緩やかで、住み替えの際に売却や賃貸に出しやすい傾向が強い。対して戸建ては建物の資産価値の下落が激しく、将来的なリスクをはらんでいる。
都内の戸建ては土地代の割合が大きいものの、建物部分の価値は築10年を超えると実質ゼロになるとされる。そのため購入から十数年で手放そうとした場合、売却価格が住宅ローンの残高を下回る残債割れを起こす危険性が高い。中古の戸建ては買い手や借り手がつきにくく、流動性の低さも懸念材料となりやすい。
迫られる究極の選択
マンション高騰が続く中、住まい探しをする現役世代は厳しい決断を突きつけられている。無理をしてでも資産価値の落ちにくいマンション購入に踏み切るか、妥協して一生住み続ける覚悟で戸建てを選ぶかの二択だ。
さらには、老後の住居確保というより高いリスクを背負って賃貸でいく選択肢もある。業界の担当者は「共働きの会社員などの実需層は、都内のマンションに容易に手を出せなくなっている」と指摘する。手頃な住環境と将来の資産形成の間で、若年層はかつてなく難しい判断が迫られている。
翻訳・編集 EIICHI JOURNAL


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